北斗星(6月27日付)

お気に入りに登録

 いま「中学3年生が大活躍」といえば将棋の藤井聡太四段(14)だが、県民なら長崎宏子さんを思い出す人もいるはず。かつて日本水泳界を一身に背負った秋田市出身のスイマーだ

▼1983年夏、米ロサンゼルスで行われたプレ五輪の200メートル平泳ぎで、当時14歳の長崎さん(秋田市山王中3年)は自身の持つ日本記録を3秒以上縮める2分29秒91で優勝、続く100メートルも日本新で優勝した

▼とりわけ200メートルはこの年の世界最高、歴代でも世界4位の好タイムで、翌年のロス五輪の金メダル候補に躍り出る。五輪本番では右膝の故障もあって200メートルが4位、100メートルは6位だったが、小学生時代からの活躍ぶりは県民を熱狂させた

▼現在はベビースイミングの指導者として活躍している長崎さんに藤井四段の印象を尋ねると、「将棋に向かう姿や大人びた発言には既にプロの貫禄が備わっていて、中学生という感じはしません。ニコッと笑うと14歳のかわいらしさですけどね」と話す

▼長崎さん自身、「まだ中学生だからしょうがないな」と見られがちだったが、日の丸をつけて国際大会に出る以上、それに甘えないよう心掛けたという。14歳にしてトップ・アスリート(競技者)の自覚があったのだ

▼なるほど年齢にこだわっているのは観衆の方で、アスリートたちは勝利のため最善を尽くすだけである。だとしてもデビュー以来29連勝の新記録を樹立してなお、冷静に勝利の弁を述べる藤井四段の姿には畏れ入る。