北斗星(1月10日付)

お気に入りに登録

 太平洋戦争後、本県に連合国軍が進駐し教育管理が始まった。学校での軍国主義排除は徹底していた。中でも1947年6月に秋田軍政部の教育課長に就いたジェームズ・モロニーは厳しかった

▼一方でモロニーは、民法改正により男女同権になったことを説いて回った。着任した年の冬には秋田市内の進駐軍家庭に英語でクリスマスの歌を届ける合唱団の編成を指示し、市内の学校から男性13人、女性12人の計25人が選ばれた。木内音楽賞顕彰会長の伊藤由雄さん(86)=同市=もその一人

▼モロニーは音楽には詳しくなかったが、発音を厳しく指導したという。伊藤さんらは8曲の歌詞を丸暗記し、クリスマスイブに軍用トラックで市内を巡った。旧制秋田中学の生徒だった伊藤さんは男女が一緒に歌える時代になったことを「少しうれしかった」と振り返る

▼これが本県混声合唱団の草分け、カンパネラ・コールの誕生につながる。同合唱団は「秀麗無比なる」で知られる秋田県民歌が挿入された「大いなる秋田」(68年制作)の普及などで中心的な役割を果たしていく

▼カンパネラが結成70周年を迎えた。15日に秋田市のアトリオン音楽ホールで記念公演を開く。本番では心を合わせた美しい歌声が響くことだろう

▼県内の合唱団は男性不足が悩みの種という。女性のソプラノとアルトに、男性のテノールとバスが加わらないと厚みが出ない。女性活躍が叫ばれる時代だが合唱界は男性の参入を期待している。