社説:県の健康寿命対策 目標実現の具体策示せ

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 県は、健康で自立した生活を送るための「健康寿命」のアップに向け、新年度から生活習慣病対策に一層力を入れる。企業や医療関係団体などに協力を呼び掛け、県民運動として展開する考えだ。

 少子高齢化が全国最速で進む本県にとって高齢者の社会参加は地域の活力維持に欠かせず、健康寿命を延ばすことは重要だ。ただ、県は健康寿命を延ばす目標を以前から掲げており、これまでの施策とどう違うのか具体的な説明が求められる。

 昨年の12月県議会で佐竹敬久知事は、「健康寿命日本一」を目指す方針を打ち出した。開会中の2月県議会の知事説明では、これを「県政の大きな目標として掲げる」と述べている。だが、それをどのように実現していくのか明確ではない。歩くことを習慣付けるなど、県民運動に組み込む項目を示したにとどまっている。

 佐竹知事が就任後に策定した本県の健康づくり施策「健康秋田21計画」(2013~22年度)でも、健康寿命の引き上げを標ぼうしている。新たな目標を掲げるからには従来の取り組みの結果や課題を検証した上で、目標達成に向けた具体的な施策内容も示すべきだろう。

 直近の調査によると、本県の健康寿命(13年)は女性が75・43歳で全国3位と高い半面、男性は70・71歳で39位と低位にとどまっている。トップは男女とも山梨県で、男性72・52歳、女性75・78歳。健康寿命を延ばすには運動、食事、飲酒などの生活習慣をバランスよく改善することが大切とされる。

 健康増進の主要な指標である1日平均の歩数(12年)は本県男性が6788歩で全国44位、女性は6028歩で47位と最下位だ。本県では冬場に屋外で運動する機会が減少しがちになる。そうした環境の中で、どうすれば歩数を増やせるのか。車依存などライフスタイルの見直しも考えなければならない。公共交通の在り方を含めた地域づくりや意識改革も必要だろう。

 高血圧や胃がんなどと関係が深い1日平均の塩分摂取(12年)でも、本県男性は12・3グラムで全国4番目、女性も10・2グラムで6番目に多い。県は塩分摂取を1日1グラム減らそうと運動を展開してきた。だしを利かせるなどして塩分を控え、おいしく食べられるメニューの普及や啓発を一層進めなければならない。

 歩数や塩分摂取量で見る限り、本県女性のデータは芳しいものではないが、健康寿命では全国上位となっている。厚生労働省の研究事業によると健康寿命には、社会参加や地域とのつながりなどによって気持ちが前向きになることも関連している可能性があるという。

 本県で男女差がある原因なども詳しく分析し、より実効性ある施策につなげたい。その上で新たな県民運動の趣旨をよく説明し、健康寿命に対する意識を高めていくことが望まれる。