ルポ:福島原発事故の被災地 町民、帰還の場づくりへ奔走

お気に入りに登録
※写真クリックで拡大表示します
住民の帰還に向けて富岡町が整備した複合商業施設「さくらモールとみおか」。店内は復旧作業に従事する作業員らの姿が目立った

 福島県の東京電力福島第1原発の事故から6年を迎えるのを前に、7日から3日間、日本記者クラブの視察に参加し、避難指示解除を目前に控えた周辺自治体を訪ねた。ようやく町民が帰還できるまでになった町には今も多くの課題が山積し、関係者の胸中には喜びや不安など複雑な思いが交錯している。

 福島県東部「浜通り」の国道6号をバスで北上し、広野町、楢葉町を抜けて富岡町に入った。人口の約7割を占める1万人近くの町民が対象となる居住制限区域と避難指示解除準備区域の4月1日解除を目指している同町。全町民の避難は今も続くが、沿道に営業中の事業所が並び、人や車が行き交う光景に驚かされた。ただ、よく見ると大半は家屋解体などの現場で働く作業員。事業所は建設会社や重機のリース会社、ガソリンスタンドばかりで、車も商用車に多い白色が目立つ。

 昨年11月にプレオープンした複合商業施設「さくらモールとみおか」に到着。スーパーとドラッグストアは3月末から営業を始めるが、既にホームセンターと飲食店3店が開店し、ちょうど作業員が昼食中だった。客の8割が周辺で働く作業員だという。

 事故前は約1万6千人が暮らしていた町内で現在、営業しているのはモールを除けばコンビニエンスストアの2店舗だけ。町は約29億円かけてモールを整備し、地元企業の説得を続けてようやく営業にこぎ着けた。ただ、当面はどの店舗も赤字が続く見通しで、年間約5千万円と見込む運営費も町の持ち出しになるという。

(全文 1117 文字 / 残り 498 文字)