社説:PKO日報問題 隠蔽の理由、徹底解明を

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 南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣されている陸上自衛隊部隊が日々の活動を記録した日報が、「廃棄した」とする陸自内に今年1月ごろまで保管され、その後破棄されていたことが分かった。部隊派遣に関する重要な情報を隠蔽(いんぺい)したと受け取られても仕方ない。国民の信頼を裏切るもので、許される行為ではない。

 公開すべき情報を、ほかにも隠しているのではないかとの疑念も湧いてくる。防衛省は特別組織の防衛監察本部による特別監察を実施するとしているが、徹底した調査を求めたい。

 日報を巡っては、外部からの情報公開請求に対し、同省が昨年12月、陸自は廃棄済みとして不開示を決定。「その後、範囲を広げて探したところ同省統合幕僚監部で(日報の電子データが)見つかった」として2月になって公開した。

 しかし調査の過程で、少なくとも1月ごろまで陸自内にも日報データが残っていたことが分かった。だが、統幕幹部がその事実を公表しないよう陸自に指示し、データはその後破棄されたという。特別監察では、なぜ隠蔽したのか、その判断は組織的なものではなかったのか、といった点を明らかにすべきだ。

 稲田朋美防衛相は16日の衆院安全保障委員会で「日報の破棄を指示するようなことは断じてない」と述べた。だとすれば、稲田氏の目の届かないところで、情報が隠されたり、破棄されたりしていたことになる。きちんと省内を統率しているのか疑問を抱かざるを得ない。野党は「シビリアンコントロール(文民統制)が利いていない」などと批判し、防衛相辞任を求めている。

 陸自トップの岡部俊哉陸上幕僚長は日報を巡る混乱に関し、現地で活動する派遣部隊に「申し訳ない」と述べた。部隊は5月末をめどに活動を終え撤収することが今月10日に決まったが、日報の内容が外部に伏せられてきたことが、撤収に関する議論に影響しなかったのか、という点についても検証が必要だ。

 昨年7月、派遣部隊が活動する南スーダンの首都ジュバで起きた政府軍と反政府勢力の大規模衝突を、日報は「戦闘」と表現し緊迫した治安情勢を伝えている。

 だが稲田氏は、日報が公開された2月上旬以降、「法的な意味での戦闘行為はなかった」と繰り返してきた。自衛隊が戦闘に巻き込まれた場合、憲法9条に基づくPKO参加5原則に抵触し、部隊撤収につながりかねないためだ。

 そもそも情報公開請求があった最初の段階で、そうした不都合な情報を隠そうという意図が防衛省や陸自に働いたのではないか。特別監察では、当初の不開示決定にさかのぼり、事実を究明することが求められる。同省と陸自の情報公開に対する姿勢が、厳しく問われなければならない。