社説:外国人観光客誘致 体験型で需要取り込め

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 2016年に国内のホテルや旅館に宿泊した外国人の延べ人数(速報値)が初めて7千万人を突破し、過去最高を更新した。前年と同様に東京などの三大都市圏に比べて地方の伸び率が高く、観光庁は外国人観光客が地方に向かう流れができつつあるとしている。

 ただし、本県の宿泊者数は前年を上回ったものの6万2810人と全国45位にとどまり、東北では福島県に抜かれて前年の5位から最下位となった。20年の東京五輪・パラリンピックを控え訪日外国人は今後も増加が見込まれるだけに、本県観光のPRや受け入れ態勢の整備に一層力を入れる必要がある。

 観光庁のまとめでは、全国の宿泊者数は前年比8・0%増の7088万人。三大都市圏が4・8%増、それ以外の地方は13・2%増だった。地方の伸び率が好調な点について同庁は、買い物が目的の来日が沈静化し、地方の自然や文化に触れる体験型観光の人気が高まってきたためと分析している。

 東日本大震災で客足が落ち込んだ東北は、6県全てで宿泊者数が前年を上回った。ただ本県の伸び率は5・0%で、宿泊者数と同じく東北では最下位。東北2位の青森県が31・9%増の15万7030人、3位の岩手県は20・7%増の12万8310人となっており、隣県に大きく水をあけられている。

 県観光振興課は、本県が伸び悩んだ要因の一つとして15年12月から大韓航空の秋田―ソウル便が運休していることを挙げる。16年に来県して宿泊した韓国人は7390人で、前年より4割も落ち込んだ。

 県が誘客のターゲットとする国・地域は韓国、台湾、中国、タイ。ソウル便再開のめどが立たない現在、有効な誘客手段としてチャーター便に力を入れる必要がある。台湾に対してチャーター便誘致に努めた結果、16年に県内で宿泊した台湾人は2万2740人と前年比で7割近くも増えた。温泉やスキーなど冬場を中心に需要は大きいだけに、他国の航空会社や旅行会社への働き掛けも強めたい。

 外国人の関心が高まっている体験型観光メニューの充実も欠かせない。県が委嘱した韓国の現地コーディネーターは、みそ造り体験や酒蔵見学など秋田の食文化を伝える観光コースを設定できれば、他地域との差別化を図れると指摘する。

 ソウル便が就航している青森県では、16年に韓国人では東北最多の2万4千人が宿泊した。リンゴの主要な輸出先である台湾からも来県数が伸びているが、いずれも現地のマスコミなどに地道に情報提供してきたことが一番の要因という。

 地方への流れを取り込もうと秋田、青森、岩手の北東北3県は協力して十和田八幡平への誘客を進めている。効果をより高めるためにも、本県が中心になって広域連携による周遊化を加速させるべきだろう。