北斗星(5月19日付)

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 ある国会議員の子女は教員志望だったが、地元の採用試験を受けず、縁もゆかりもない他県の採用試験を受けた。たとえ実力で地元の試験に合格しても「どうせ親の威光でしょ」と言われるだろうと思ったからだ

▼独立心の強い見上げた娘さんである。父親の議員も娘の思いを尊重した。彼女は文字通り実力で試験に合格して他県の教員となった。議員は亡くなって久しいが、生前に本人からこの話を聞き、感動したことを覚えている

▼親の威光で試験結果が左右される時代があったかどうかまでは知らないが、やっかみ半分であれこれうわさする人はいる。娘を手元に置きたいというのが親心なら、無理にとどめて不愉快な思いをさせるのは気の毒だというのも親心だ

▼愛媛県今治市への私大獣医学部新設計画は、森友学園に続く「忖度(そんたく)問題」第2幕の様相を見せている。大学の経営者と安倍晋三首相が親しい間柄で、国家戦略特区の対象事業として特例的に新設が認められた背後に首相の意向があったのでは、と疑われている

▼首相は以前「私と付き合いがあったら国家戦略特区に指定されないということになるのか。これはおかしな話になる」と国会で答弁しているが、親しい友人となれば、双方にその気がなくても疑われるのはやむを得ない。歓迎して建設用地を無償提供した今治市にとっても迷惑な話だろう

▼むしろ「私が首相であるうちはやめた方がいい」と助言するのが親心であり真の友情ではなかったか。