北斗星(8月13日付)

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 お盆の前、にかほ市象潟町の沿岸地域を歩いた。目に留まったのが家の外の窓につるされたマコモの「盆馬」と、長い竿(さお)状の木の先に灯籠がつるされた軒先の「トリ竿」だ

▼盆馬は先祖の霊を迎え、送り出すための乗り物で、馬引き役の人形が付いていた。トリ竿は、亡くなったばかりの家族に迷わずに帰って来てもらうための目印という。初盆を迎える家などが立てる。竿部分は7メートルほどで1階の屋根より高い位置に灯籠がつるされていた

▼トリ竿は県内では象潟地域だけの風習だという。昔はろうそくを使っていたが、今は火事にならないよう電球の明かりをともす。父母が共に初盆を迎えるという女性は「トリ竿の明かりを目印に迷わずに帰って来てくれるはず」と語った

▼象潟では地域の代表的な風習「盆小屋行事」が始まり、きのうは海のかなたから来るとされる先祖の霊を大澗(おおま)海岸で出迎え、子どもたち(家族)がちょうちんに灯をともして家まで道案内した。女性も海岸まで父母を迎えに行った

▼盆小屋行事とトリ竿のどちらか一つで事は足りそうだがそうではないらしい。地元の70代男性は「盆小屋行事を担う5集落は漁業をなりわいとしてきた。板子一枚下は地獄。先祖を大切にし、自分たちを守ってもらおうという強い信仰の表れなのだろう」と教えてくれた

▼お盆のきょう13日は県内各地で墓参りを行い先祖を迎えることだろう。先祖と向かい合い、帰省した家族や親戚と共に大いに語り合いたい。