社説:北朝鮮追加制裁 実効性高め局面打開を

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 国連安全保障理事会は、6回目の核実験を強行した北朝鮮への制裁強化決議案を全会一致で採択した。ガソリンや軽油などの石油精製品の供給や原油輸出に上限を設けるのが柱で、安保理決議として北朝鮮の生命線とされる石油の規制に初めて踏み込んだ。

 日米が目指した北朝鮮への石油輸出の全面禁止からは後退したが、3日の核実験から1週間余りでのスピード採択である。エスカレートする北朝鮮の軍事的挑発に対し、国際社会が「世界全体への脅威」と捉えて危機感を強めている表れだろう。

 安保理は、北朝鮮が7月に大陸間弾道ミサイル(ICBM)を2回発射したことを受け、主要産品の石炭や海産物などを全面禁輸とする制裁決議を採択している。それに加えて今回の制裁が実施されれば、北朝鮮が大きな打撃を受けるのは必至とみられている。

 決議では、北朝鮮に対する全ての石油精製品の供給や輸出を年間計200万バレル(現在の推定供給・輸出量は約450万バレル)に制限、加盟国に対して輸出量などを毎月報告するよう求めた。原油輸出に関しては年間上限を設定し、過去12カ月の輸出量(推定約400万バレル)を超過してはならないと明記。さらに北朝鮮からの繊維製品の輸入を禁じたほか、各国が北朝鮮からの出稼ぎ労働者に就労許可を与えることを一部例外を除いて禁止するとしている。

 米国は、対話による解決を重視する中国やロシアに譲歩して石油の全面禁輸は見送った。だが、米国の試算では、今回の制裁が確実に履行されれば北朝鮮への原油と石油精製品の供給量が現在より3割減少するほか、これまでの制裁とともに完全実施された場合、北朝鮮の外貨収入は9割減少するという。

 それでも北朝鮮が核・ミサイル開発を続ければ、石炭の場合と同様に「次は石油の全面禁輸に踏み切る」と強く警告を発したともいえる。

 ただし、今回の制裁決議が北朝鮮の核・ミサイル開発の放棄につながるかどうかは不透明だ。北朝鮮はパイプラインを通じて中国から原油の供給を受けてきたとされ、有事に備えてその一部を何年も前から備蓄しているという。このため専門家の中には、制裁が直ちに効果を生むことはないとの見方もある。

 北朝鮮は制裁決議に対して「米国が考えもしない強力な行動を連続的に講じる」と反発している。ICBM発射や7回目の核実験など軍事挑発を立て続けに強行する恐れも否定できず、今後も十分な警戒が必要だ。

 制裁強化で安保理が足並みをそろえたことは大きな意味があるが、その結束を国際社会全体に広げ、制裁の実効性を高めることが求められる。そうして北朝鮮への圧力を強めるとともに、日米韓中ロの関係5カ国は対話の道も模索し、重層的な対応で解決を目指すべきだ。