社説:県産牛入賞逃す 肉質高めて畜産振興を

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 仙台市で開かれた和牛品評会「第11回全国和牛能力共進会」で、県産牛は出品7部門でいずれも入賞を逃した。各部門の成績に基づく総合順位は1位鹿児島、2位宮崎、3位大分の各県と九州勢が上位を独占し、東北では開催地の宮城が4位と健闘した。畜産が盛んな産地と本県の差が浮き彫りになった。

 5年に1度開催される品評会は「和牛のオリンピック」とも呼ばれ、牛の体形や毛並み、枝肉の肉質などを競う。性別や月齢によって9部門に分かれ、今回は39道府県から過去最多の513頭が出品された。

 2012年の前回大会では県有種雄牛(しゅゆうぎゅう)「義平福(よしひらふく)」の子の枝肉が、若い種雄牛の子の肉質を競う部門で2位を獲得。県産牛の上位入賞は初めてで一躍脚光を浴び、その後の子牛価格の上昇などに反映された。好成績を挙げれば肉のブランド化が進むことも期待され、今回も県内畜産関係者の期待は高かった。だが結果は振るわず、7部門とも10位に入ることはできなかった。

 県内で肥育されている肉用牛は6470頭(17年)で東北6県で最少。宮城とは2万頭以上の開きがあり、トップの鹿児島のおよそ20分の1にとどまる。厚い層の中から選抜される他県に対抗するため、県は「少数精鋭」で取り組んできた。

 今回の結果について県畜産振興課は「肉用牛産地の底力を感じた」と厳しく受け止め、繁殖用雌牛の確保を課題に挙げる。これまで優秀な種雄牛の育成に注力してきたこともあり、掛け合わせる雌牛の確保は遅れ気味だったという。

 牛肉のおいしさは風味と香り、食感で決まるとされ、その決め手となるのが「さし」(霜降り)と呼ばれる脂の入り具合だ。枝肉の評価では、1頭から取れる肉の重量などとともに、さしの入り具合が重視される。県産牛は今回、その点で他県に及ばなかった。

 義平福の子は、種雄牛の能力を総合的に評価する「花形」部門に初めて出品された。出品16組中、枝肉の重さは最高だったが、さしの入り具合などが劣り総合評価は最下位だった。肉質を向上させるには、子の性質の半分を担う雌牛の改良が不可欠だ。県は優秀な雌牛を増やす取り組みに一層力を入れることが求められる。

 本県の農業産出額は1985年の3175億円をピークに、2015年は1612億円と半減。この間、和牛を含む畜産産出額は3割減の352億円になった。県はコメ偏重の本県農業の構造を変えようと、畜産や野菜、花卉(かき)などへの転換を進めてきたが、構成比とともに各部門の産出額を増やす努力が大切だ。

 畜産農家の減少が続く中、もうかる農業として新規就農者を呼び込み、畜産全体の底上げを図る必要がある。そのためにも県と農家、農業団体が協力し、再び入賞が狙えるよう取り組んでもらいたい。

県内畜産農家の挑戦と課題をまとめました