精緻を極めた美[蜜柑]常識超える牙彫の技法

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安藤緑山・作、大正-昭和、右7・5×5・5センチ、左6・5×5・0センチ、中央7・5×5・5センチ、象牙着色、京都国立近代美術館蔵(撮影・木村羊一 Kimura Yoichi)

 おいしそうなミカンが並んでいます。目の前にあったなら、誰もが思わず手を伸ばすことでしょう。しかし、手に取った瞬間、その手触りと重さから、それはミカンのように見えてミカンではないことに気付きます。

 本作「蜜柑(みかん)」は、実は象牙を彫って作られた牙彫(げちょう)作品。表面にはミカン特有のたくさんの細かな凹凸が彫られ、皮の一部がむかれて中の実がのぞき見える作品もあります。象の牙は白い色をしていますが、明治末ごろになると着色された作品が見られるようになります。しかし、この作品を手掛けた安藤緑山に限っては、どのように着色したのかが現在でも不明なのです。

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