社説:イージス本県配備 必要性や影響の説明を

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 政府は、弾道ミサイルを迎撃する地上配備型システム「イージス・アショア」を本県と山口県に配備することを検討している。東日本、西日本にそれぞれ1基配備して日本列島のほぼ全域をカバーする計画で、来月中旬にもアショア配備を閣議決定する方向だという。

 北朝鮮はミサイル開発を進めており、西日本を射程に入れる「スカッドER」(中距離)、日本のほぼ全域に届く「ノドン」(同)を実戦配備。今年に入り「火星12」(同)や大陸間弾道ミサイル(ICBM)の「火星14」の発射実験を繰り返している。

 昨年8月、男鹿半島沖にノドンの弾頭が落下して以降、政府は領土内に落下するミサイルを迎撃する「破壊措置命令」を継続しており、現在、海上自衛隊のイージス艦が日本海で警戒監視を続けている。イージス艦による迎撃を第一に想定し、撃ち損じた場合は、航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)で迎え撃つ態勢を各地で整えている。

 イージス・アショアはイージス艦と同じようにレーダーやミサイル発射装置などから構成される。導入により、迎撃態勢の厚みが増すほか、北朝鮮への日常的な警戒監視の負担が軽減される。政府は2023年度の運用開始を目指している。

 本県はこれまで北朝鮮のミサイルの脅威にさらされてきた。09年には北朝鮮の発射予告に合わせ、秋田市の陸上自衛隊新屋演習場にPAC3が配備された。ミサイルは本県上空を通過し直接的被害はなかったが、不安を感じた県民は多かった。本県沖に弾頭が落下するケースも相次ぎ、今年も3月に男鹿半島沖約300~350キロの海上に落下している。

 こうしたことを考慮し、「しっかりとした迎撃システムが日本には必要だ」と本県配備に理解を示す意見が県内にある。だが、本県にイージス・アショアが配備されれば有事の際、地域住民が危険に巻き込まれることも懸念される。北朝鮮は日本の米軍基地を弾道ミサイルの標的にすると公言しており、軍事的重要拠点となるイージス・アショア配備先も北朝鮮の標的に加わる恐れがあるからだ。

 県民の中には「配備に反対だが、どこかに配備しなければならないのであればやむを得ない気もする」といった声がある一方、「実際に飛んできた時に迎撃能力がどれだけあるのか疑問だ。高額な兵器を米国から押しつけられることにならないか」などと能力そのものへの懐疑的な声がある。「防衛上の重要施設があれば、他国に狙われるリスクが高まる」との不安もある。

 政府は配備を決定する前に、こうした声や不安に真摯(しんし)に向き合う必要がある。県民生活に影響はないのか。不利益はないのか。県や県民に対し、納得のいく説明を速やかに行うべきだ。