秋田犬もらうザギトワ選手の困った問題

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モスクワの大統領府での勲章授与の式典を前に、平昌冬季五輪で獲得した金、銀メダルを見せるザギトワ選手=2月28日(タス=共同)

 フィギュアスケートの平昌五輪団体女子フリーで、世界歴代2位で自己ベストを更新し、ロシア出身選手団の銀メダルに貢献。個人では圧巻の演技で金メダルを獲得したアリーナ・ザギトワ選手。弱冠15歳のかわいらしさもあり、ロシアのみならず日本など世界でファンを魅了した新星だが、このたび日本の秋田犬保存会などから雌の秋田犬をプレゼントされることになった。日本食が好きで、将来の夢は「日本食レストランを持つこと」という日本びいきで、日本人として筆者も嬉しい限り。既に犬の名前も「日本語で勝利を意味」する「マサル」と名付けることも決めたそう(雌なのに・・・)だが、一つ困った問題が起きそうだ。

 ザギトワ選手は12歳の時に、フィギュアのトレーニングのため故郷の中部ウドムルト共和国の首都イジェフスクに両親と妹を残し、モスクワ市内に転居。現在は祖母とともに、アパートに暮らしているが、ロシアのメディア「マッチTV」に対し「両親は飼うのを許してくれたんだけど、おばあちゃんは疑問を持っている。賃貸アパートは手狭で問題になりそう」と告白している。

 アパートの部屋が、どれぐらいの広さなのか不明だが、家賃の高さでは東京をしのぎ、世界有数と言われるモスクワで、つい最近まで無名だった15歳の女の子が大きな部屋を借りられるとは思えず、相当狭いのではと想像してしまう。しかも、秋田犬に先立ち、猫1匹とチンチラ2匹の〝先住者〟もいて、毎日の世話をするだろう祖母がためらう理由も分かる。

 五輪前の日本滞在中に日本の雑誌を読み、載っていた写真を見て一目ぼれして、欲しくなったという秋田犬だが「どれぐらいの大きさか知らない」。部屋が手狭なためより小さな雌を所望したと言うが、実は秋田犬は小さな犬ではない。日本犬の中で大型犬に属し、保存会によると、祖先は狩猟に使われたマタギ犬。雌でも成犬になると体重25キロ前後、体高60センチにもなる。生後間もなくは数キロ程度だが成長は早く1年程度で7~8倍に成長する。東日本大震災後の支援に対する感謝の印として秋田県から秋田犬を贈呈されたプーチン大統領なら、広大な公邸もあり、飼うのに困らないだろうが。

 「人に言えないことをいつも(ペットと)話している。彼らが私を裏切らないことを知っているもの」と15歳の少女らしく、動物への愛を隠さないザギトワ選手。「いずれにしろ、私は飼うわ。とっても気に入ったし、とっても忠実だって言うし」と、その決心は揺らぎそうにもないが、唯一の解決策はより大きなアパートへ転居することだろう。

 平昌五輪では個人種目唯一のロシア出身者の金メダリストとなり、プーチン大統領から勲章を、メドベージェフ首相からは高級車BMWの鍵を受け取った同選手は既に国民的英雄。ロシア政府にはぜひ、彼女が好きな動物に囲まれて暮らせるよう住居の面でも配慮してほしい。ちなみに、コムソモリスカヤ・プラウダ紙(電子版)によると、モスクワでの秋田犬の販売価格は8万ルーブル(約15万円)以上だという。

(47NEWSから転載、共同通信元モスクワ支局員・太田清)