社説:パラ五輪開幕 共生社会考える機会に

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 日本選手が躍動した平昌(ピョンチャン)冬季五輪の興奮がいまださめやらぬ中、「もう一つの五輪」パラリンピックがきょう開幕する。五輪と同じ韓国・平昌の五輪スタジアムで開会式が行われ、10日間の熱戦の幕が開ける。6競技80種目で争う平昌パラリンピックには、過去最多となる49カ国・地域からアスリートたちが集う。

 日本からは車いすカーリングを除く5競技に38選手が出場する。前回のソチ大会の6個を上回るメダル獲得を目標に掲げており、アルペンやバイアスロンなどでメダルが期待されている。五輪同様、日本選手たちの活躍に大いに期待したい。

 本県関係では、視覚障害のスキー距離とバイアスロンに仙北市出身の高村和人選手(35)=盛岡視覚支援学校教員=が出場する。「120パーセントの力を出し、表彰台に立ちたい」と言う。夢の舞台で持てる力を出し切り、満足のいく結果を勝ち取ってもらいたい。

 パラリンピックは、第2次世界大戦後、戦傷者のリハビリの一環として英国の病院で開催された車いすの競技会がルーツとされる。冬季大会は1976年のスウェーデン大会が始まりだ。スポーツを通し障害者の自立や社会復帰、社会参加を促す狙いがある。

 そんなパラリンピックは近年、大きな変容を遂げている。目覚ましいのは各種目の競技レベルの向上だ。選手たちはより高いレベルを目指して厳しいトレーニングを積んでおり、磨き抜かれた力と技がぶつかり合う。スポーツとしての魅力が一層増している。

 一方で、パラリンピックは障害の有無にかかわらず誰もが社会の一員として支え合う「共生社会」の実現に向けても大きな役割を担う。その意義について日本パラリンピック委員会は「社会の中にあるバリアを減らしていく必要性に気付かせてくれる」としている。

 だが、内閣府が昨年9月に公表した「障害者に関する世論調査」によると、日本社会で障害を理由とした差別や偏見が「ある」と思う人は83・9%という高率だった。前回調査(2012年)より5・3ポイント減少したものの、16年4月に障害による不当な差別を禁止した「障害者差別解消法」が施行されたことを考えれば不十分だ。

 この調査は差別や偏見をなくすのは容易ではないことを示している。機会あるごとに意識変革を促すことが必要だ。その意味でもパラリンピックの開催意義は大きい。共生社会について家族や学校、職場などさまざまな場所で共に考える機会にしたい。

 「障害は個性」。ある選手が発したこの言葉を実感する機会になればとも思う。特に多くの子どもたちに観戦してもらいたい。それが20年の東京パラリンピックにつながり、共生社会実現へのステップとなるはずだ。