北斗星(3月9日付)

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 全国人民代表大会(全人代)が開かれている中国は完全な「1強体制」を迎えている。国家主席の任期「2期10年」を削除する憲法改正案が可決される見通しで、現在2期目の習近平主席は終身支配も可能になる

▼経済成長を遂げて大国となった中国だが、民主活動家や少数民族への抑圧を強めており、言論やインターネットなどの規制もいとわない。憲法より中国共産党の指導が優先すると強調され、党を掌握する習氏の独裁的な体制だ

▼権力が法に従って統治するのが「法の支配」なら、中国の状況は「人の支配」と言えるだろう。先日、市民団体「あきた立憲ネット」の集会で講演した法政大の山口二郎教授は、日本も「安倍1強」下で人の支配になっていると述べた

▼官僚人事を内閣人事局に一元化したことで官邸がにらみを利かせ、官僚が全体の奉仕者から政権の奉仕者へと変質していると批判した

▼三権分立により互いをチェックすべき行政権(内閣)と立法権(国会)の融合も進んでいるという。安倍晋三首相を「よいしょ」するかのような与党議員の国会質問を聞いていると、なるほどと思う

▼森友学園への国有地売却問題で財務省が公文書を書き換えた疑いが浮上している。防衛省が自衛隊の日報を隠蔽(いんぺい)した問題や、文部科学省の加計(かけ)学園関連文書の問題など、公文書を巡る不祥事が後を絶たない。官僚が政権(人)を守ろうとルール(法)を逸脱しているのだとすれば、人の支配の産物と言えないか。