社説:森友文書改ざん 政権揺るがす重大事だ

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 学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る決裁文書に関する問題で、財務省は12日、14の文書で書き換えがあったとする調査結果を国会に報告し、改ざんを事実上認めた。

 改ざんがあったのは2014年6月~16年6月の文書で、森友問題が発覚した昨年2月以降に行われた。当時理財局長だった佐川宣寿氏の国会答弁との整合性を図るためだったというが、知られたくない事実を隠すための隠蔽(いんぺい)工作ではないのか。

 公文書管理法は公文書を「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」と位置付け、適正な作成・管理を図ることで国民への説明責任を果たすことを目的に掲げている。いったん作成した文書を改ざんするなど、あってはならない。民主主義の根幹を揺るがし、行政への国民の信頼を失墜させたことを財務省はどう捉えているのか。

 財務省は本省幹部や、この問題の対応に当たった近畿財務局の担当職員の懲戒処分を検討する方針というが、そんな軽微な問題ではないはずだ。麻生太郎副総理兼財務相はもちろん、安倍晋三首相の責任を問う声も上がっている。担当職員の処分などで早期に幕引きを図ろうとしても国民の理解は得られない。

 そもそも財務省はなぜこんなことをしなければならなかったのか。誰が誰に指示したのか。政府は事の重大性を踏まえ、政治の関与の有無も含め、問題の全容解明に全力を挙げなければならない。

 問題となった大阪府豊中市の国有地は、財務省が16年に評価額から8億円も値引きした額で森友側に売却する契約を締結し不自然さを指摘された。森友学園がこの土地に開設予定だった小学校の名誉校長に安倍昭恵首相夫人が一時就任していたことから官僚の忖度(そんたく)が疑われた。

 国有地売却について佐川氏は国会で「法令に基づき適切に管理、処分を行っていた」と答弁したが、「本件の特殊性」「特例的な内容」など不自然な契約を示唆する文言の記された文書があったことが今回判明した。

 昭恵夫人が森友学園を視察し講演したとの記述や、昭恵夫人から「いい土地ですから、前に進めてください」とのお言葉をいただいたと森友側が発言していたとの記載もあった。ほかに政治家4人の名前もあったが、いずれも削除されていた。

 一連の文書は国会に開示され、これに基づき審議が行われた。立憲民主党などから「国会審議の信頼と前提を根本から覆す前代未聞の異常事態だ」と批判の声が上がるなど、野党が攻勢を強めるのは当然だ。国権の最高機関である国会がないがしろにされたという点で、自民党も公明党も同じ立場だ。全容解明には与野党一体で取り組まなければならない。

 そのためには野党が求める佐川氏や昭恵夫人の国会招致も必要だろう。国会を挙げた徹底調査が求められる。