北斗星(3月13日付)

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 「永続敗戦論」(太田出版)の著者白井聡さん(40)は昨年、秋田市で講演した際に「忖度(そんたく)」について述べている。民主党政権時代の鳩山由紀夫元首相の退陣劇について「日米の意思が衝突した結果」と解説した時だった

▼鳩山氏は沖縄県の米軍普天間飛行場の移設を巡り、「最低でも県外」と約束した。だが果たせなかったことで混乱し、責任を取る形で首相の職を辞した。白井さんは、衝突といっても米側が直接辞任を求めたわけではなさそうだと述べた

▼そこで登場するのが忖度だ。「外務省や防衛省、日米安保に関わる政治家が米国の意向を忖度し、明確に衝突する前に鳩山降ろしに動いたのではないか」と説明した

▼昨年の流行語大賞になった忖度が、今年もクローズアップされている。財務省は森友学園への国有地売却問題に関し、14件の決裁文書に書き換えがあったと認めた。安倍昭恵首相夫人や複数の政治家に関する記述が削除されていた

▼「本件の特殊性」「特例的な内容」といった文言も消されていた。書き換えというより改ざんだ。理財局長として国会対応に当たった佐川宣寿・前国税庁長官の国会答弁との整合性を図るためというのが財務省の言い分だ

▼改ざん理由として政治家や政府への忖度がなかったかを問われると、麻生太郎副総理兼財務相は即座に否定した。財務省を挙げての調査はまだ途中のはずで逆に怪しい。鳩山降ろしとは異なり、政権を守る方向で忖度が働いているということか。