社説:教職員の多忙化 業務削減への道筋示せ

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 県教育委員会は教職員の長時間労働を是正するため、本年度から3年間で取り組む多忙化防止計画を策定した。7年ぶりの計画改定で、時間外勤務の上限、学校閉庁日の設定など具体的な数値目標を初めて示した。小中学校を運営する市町村教委とも目標を共有し、対策を進めたい考えだ。

 教職員の長時間労働は全国的な問題となっている。文部科学省の2016年度勤務実態調査では、公立中教諭の57%、公立小教諭の33%が、時間外労働が月80時間の「過労死ライン」を上回っていた。県教委が県立高校を対象に16年度に実施した調査でも、過労死ラインを上回る教職員は26%に上った。

 長時間労働の常態化は心の余裕を失わせ、教職員が生き生きと子どもに接することができなくなる状況を招くことが懸念される。働き方をどう見直すかは大きな課題だ。

 計画は、長時間労働への対策を求める文科省通知(今年2月)を踏まえて策定された。県内小中高校などの共通目標として▽時間外勤務を月45時間以内に抑える▽夏休みなどの長期休業中に学校閉庁日を3日以上設ける▽最終退校時刻を遅くとも午後8時(小学校は午後7時)に設定する―を挙げた。特に中学校は運動部の部活動指導が多忙の要因になっているとみて、平日1日、土日1日以上の休養日確保も盛り込んだ。

 対策は主に業務の改善、外部人材の活用に大別される。肝要なのは、掲げた目標をどう実現させるかだ。

 業務の改善は、県教委や市町村教委が主催する会議や研修の見直し、県教委などが各学校に依頼する調査照会業務の見直しが柱だが、どの業務をいつまでどれくらい削減するのかといった記述はない。

 県教委はこれから具体化させるとしているが、県や市町村で内容が重複する会議や研修がないかなどを徹底的に調査し、業務削減への具体的な工程を早急に示すべきだろう。

 外部人材の活用では、教職員に代わって事務処理などをするスクール・サポート・スタッフや、顧問らを補佐する部活動指導員の導入を打ち出した。スクール・サポート・スタッフはおおむね児童450人以上の大規模小22校に1人ずつ配置。教職員の負担軽減効果を見極めながら、拡充させるかを検討する。

 少子化で児童生徒の数が減少する中、教職員の大幅増は見込めないという。教職員経験者や保護者、地域住民といった外部人材の活用についてあらゆる可能性を探りたい。

 文科省は全国の市町村教委にも計画策定を求めており、県内でも今後作業が本格化するとみられる。長時間労働といっても状況は一律ではない。市町村教委は県教委の計画を参考にしながらも、現場の意見を十分踏まえた上で、労働環境の改善に向け知恵を絞る必要がある。