社説:県内の美術館改修 入館者増へ仕掛け必要

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 県立美術館(秋田市中通)と県立近代美術館(横手市赤坂)が改修を終え、今月に入って相次いでリニューアルオープンした。いずれも機能が充実し魅力アップが図られたとしている。これまで以上に本県の中核として芸術文化の振興に注力してもらいたい。

 2013年9月末にオープンした県立美術館は世界的建築家の安藤忠雄さんが設計した3階建て施設。洋画家・藤田嗣治の大壁画「秋田の行事」が2階ギャラリーに展示されるなど、中心市街地のにぎわい創出のけん引役として期待されている。

 入館者は14年度は14万5千人、15年度はやや減ったものの12万4千人と目標の12万人をクリア。しかしその後は減少傾向に歯止めがかからず16年度9万人、17年度8万6千人(1~3月は休館)となっている。

 県教育庁生涯学習課によると、入館者減少の原因の一つが、美術団体などに有料で貸し出している1階県民ギャラリーの利用低迷。15年度は6万人台だったが、16、17年度は3万人台だ。利用者らの「使い勝手が良くない」「展示の仕方に制限が多い」といった声を受け、約7100万円かけてギャラリーを改修。可動壁や照明を新設し、多彩なレイアウトを可能にした。

 県民ギャラリーの充実とメインである藤田作品を活用した魅力的な企画展開催などを通じ、利用者増につなげることが求められる。そのためには、県と秋田市が共同で建設する新文化施設や旧県立美術館、秋田市立千秋美術館、JR秋田駅前の商業施設や公共施設と連動し、回遊性を持たせる仕掛けづくりを考えることも必要だろう。

 一方、2月から休館していた近代美術館は5、6階の展示室全ての壁のクロスを張り替えたほか、5階の大型モニター4台を更新した。1994年4月のオープン以来、初の大規模改修で費用は約6700万円。

 同館も入館者の落ち込みが悩みの種だ。近年は2014年度9万2千人、15年度14万1千人、16年度8万人、17年度(4~1月末)6万1千人で推移している。集客力のある特別展を開催できた年に入館者が伸びる傾向にはあるが、それに頼り切ってもいけない。

 同館は小中学生を招き、作品鑑賞や制作体験を通して美術に親しんでもらうセカンドスクールを開いたり、遠方に出向き作品の魅力を伝える出前美術館を行ったりしている。地道な取り組みが美術ファンの掘り起こしにつながることを期待したい。

 同館には秋田蘭画の最高傑作とされる小田野直武の「不忍池図(しのばずのいけず)」(国重要文化財)をはじめ、近代を中心に2700点近い収蔵作品がある。多彩な作品は美術ファンにとって大きな魅力だ。高速道路のインターチェンジに近い好立地を生かしながら、県内外の幅広い層を呼び込めるようアイデアを出し合い、それを形にしてほしい。