特集
南極
- 昭和基地
昭和基地上空に出現したオーロラ。同基地は、地球上で最もオーロラが観測しやすいオーロラ帯の下にある。 - ドームふじ基地
標高3810メートルの高地にあるドームふじ基地。深さ3035メートルにある氷のサンプルを取り出すことに成功した。 - セール・ロンダーネ山地
昭和基地の西約600キロにある。隕石探査や、ゴンドワナ超大陸の形成過程を探る地学調査が行われている。
(地図の写真はいずれも国立極地研究所提供)
地球・宇宙科学の先進地
かつては探検家が挑む未踏の地であり、領土権争いの対象でもあった南極大陸。現在は、科学者たちが地球環境や宇宙の仕組みの解明に挑む最前線だ。南極条約により領土権に関する主張が凍結され、人類共有の財産となった。過去50回にわたり観測隊を送り出してきた日本は、オゾンホールの発見や隕石(いんせき)の大量採集などの成果を挙げている。
太陽から降り注ぐ有害な紫外線から生物を守るオゾン層に、季節により大きな「穴」が空くことが分かったのは1982年。日本が世界に先駆けてオゾンホールを発見できたのは、61年から昭和基地で地道にオゾン観測を続け、データを積み重ねてきたからだった。この発見により、オゾンを破壊するフロンガスの利用が世界中で規制されるようになった。
宇宙空間から飛来した隕石が、南極大陸の山沿いに広がる裸氷帯に集まる仕組みを解明したのも日本隊。やまと山脈を中心に大量の隕石を採集してきた。現在、南極で活動している第51次観測隊はセール・ロンダーネ山地で10年ぶりに隕石探査を実施中。米国にその座を譲っている「隕石保有数世界一」の奪還が期待されている。
そのセール・ロンダーネ山地では、5~6億年前に誕生し、その後分裂した「ゴンドワナ超大陸」の形成と発展の過程を解明するための地学調査も行われている。アフリカ、南アメリカ、オーストラリア、インド、マダガスカルと、南極が一体になった「超大陸」の痕跡を、科学者たちは野営生活をしながら探し続けている。
南極大陸を覆う平均1800メートルの氷床には、過去数十万年の気候や環境変動の情報が刻み込まれている。日本は深層部の氷床サンプルを取り出すために、標高3810メートルの高地にドームふじ基地を開設。2007年には、深さ3035メートルのサンプルを取り出すことに成功した。これにより過去72万年間の環境変動の解明が期待されている。
また、昭和基地は地球上で最もオーロラが観測しやすい「オーロラ帯」の下にあり、オーロラ研究でも世界をリードしてきた。生物資源の豊富な南極海でのプランクトン調査やペンギン・アザラシの行動調査、夏に雪が消える露岩地域でのコケ・地衣類調査など、生物に関する観測も続けている。