はじめに
秋田魁新報社が南極観測隊同行取材へ
地球規模の研究に密着、「しらせ」初航海も報道
秋田魁新報社は、第51次南極観測隊の夏隊に編集局政治経済部の安藤伸一記者(39)を派遣します。安藤記者は共同通信の記者とともに、日本新聞協会に加盟する全国の新聞・テレビ各社の代表として、今年11月から来年3月まで夏隊に同行取材し、記事と写真を随時各社に配信します。
11月に東京を出発する第51次観測隊は、11年3月まで南極に滞在する越冬隊と、来年3月帰国する夏隊それぞれ約30人で構成され、海外の研究者を含めて約二十数人が同行します。近年は温暖化、環境汚染など地球規模の問題が深刻化し、観測は地球全体を一つのシステムととらえ、学問分野を横断して地球環境問題を研究することが重要なテーマとなっています。
安藤記者は、南極観測を通して地球規模でのさまざまな問題を解明しようとする研究者の取り組みを現地からリポートします。観測隊には県出身者や秋田大OBらも加わっており、意外に知られていない南極観測と本県のかかわりも紹介できることでしょう。研究成果はもちろん、小中学生が科学に関心を持つきっかけになるような記事をお届けするようにも努めます。
にかほ市金浦出身の白瀬矗陸軍中尉が南極探検隊を率いて東京・芝浦港を出発したのは1910(明治43)年11月のことでした。来年は出港から100年目に当たります。白瀬は12年1月、南極大陸から延びるロス棚氷に上陸しましたが、極点には到達できませんでした。しかし現代からみれば考えられないほど貧弱な装備での快挙に国内は沸き立ちました。
記念の年を迎えて県は白瀬の功績をたたえ、南極観測の意義をあらためて確認するため、本年度から3年間にわたり「白瀬日本南極探検隊100周年記念プロジェクト」を繰り広げます。その実行委員会(委員長・井上正鉄秋田大教授)は官民学18機関で構成され、多彩なイベントを計画しています。
日本の国家事業としての南極観測は白瀬の探検からほぼ半世紀後の1956(昭和31)年に開始され、第1次観測隊が57年1月に東オングル島に上陸して昭和基地を設けました。以来、観測隊は大気、海洋、地質など各分野で国際的に貴重な成果を挙げています。
観測隊が乗り組むのは、今年5月に完成した4代目の観測船「しらせ」です。白瀬矗の船は全長約30メートル、わずか200トンの木造機帆船でした。これに対し新「しらせ」は世界トップクラスの砕氷力のほか数々の高能力を備えた全長138メートル、1万2500トンの最新鋭観測船です。安藤記者は「しらせ」の初航海もリポートします。
(編集局長 宍戸豊和)