グローバルナビゲーション

TOP 秋田のニュース 全国ニュース スポーツ 動画 住まい・不動産 くるま おでかけ お買い物 グルメ リンク
TOP > 特集・連載 > 見つめる > 記事
  • 佐藤養助 稲庭干饂飩つゆ付紙化粧箱入(80g×6袋+つゆ6袋)

見つめる

[石川理紀之助の子孫・紀行さん(潟上市)]

伝えたい、地域の財産 言葉を胸に環境保全

記事ツール

 「樹木は祖先より借りて子孫に返すものと知れ」

 潟上市豊川の石川紀行さん(64)は、農業指導者・石川理紀之助(1845~1915年)の言葉を紹介しながら、こう続けた。「今生きる私たちが、山田地域の財産を子孫に伝えていかなければならないんです」

 理紀之助は石川さんの高祖父(祖父母の祖父)。理紀之助と同じ、山林と水田が広がる山田地域に暮らす。水田10ヘクタールでコメを栽培するとともに、八郎湖保全活動に取り組むNPO法人の代表。地域の農家仲間とグループをつくり、自分が持つ水田の一角を開放、地元の児童に体験学習の場を提供している。

 ◆  ◆  ◆

山田地域に所有する水田の前に立つ石川さん。理紀之助に学びながら、「やるべきことを淡々とやるだけ」と語る

 理紀之助は旧山田村の石川家に婿入りし、貧しい村を立て直したほか、県内外で農業指導に励んだ。生前から、地元の八幡神社に祭られるほどの存在だった。

 石川さんが生まれ育った自宅の敷地内には、理紀之助が生前に蓄えたコメを保存する「備荒倉(びこうそう)」やトタン張りの書庫などがあり、膨大な書物などが残る。「幼いころ、自分が理紀之助の子孫だという自覚は、ほとんどなかった。周りから特別扱いをされたわけでもない」と振り返る。

 豊川小学校時代の恩師の一人が、教職の傍ら理紀之助を研究していた同市の故川上富三さん。4年生のころ、「この本を読んで勉強しなさい」と、理紀之助の伝記を書き写す課題を与えられた。1日1ページずつ取り組み、1年がかりで終えた。「私にだけ特別に宿題を課された感じ。ページを飛ばしたくて、しょうがなかった。あれで理紀之助の言葉を相当覚えたんでしょうね」

 ◆  ◆  ◆

 秋田市立高(現秋田中央高)ではラグビーに打ち込み、日大進学を機に上京。大学紛争で授業が行われず、自動車板金店で修業したことも。この時に身に付けた技術で、車を修理するのが今も趣味だ。

 卒業後、都内の食品メーカーや大手経済紙などで働いた。「20代は、やりたいことが見つからなかった。自分には何か違うものが向いているんじゃないか。そんな気持ちで働いていた」。古里に戻って農業を継ごうと決意したのは、30代前半だった。

 以来30年以上、稲作のほか、葉タバコ栽培やコンビニ経営などのビジネスに取り組んだ。最近は地域の環境にも目を向ける。2007年に県の補助を受け、自宅から1キロほど離れた「草木谷(くさきだに)」の整備に取り組んだのがきっかけだ。

 草木谷は杉林に囲まれた1ヘクタールほどの盆地で、理紀之助が独力で水田を開いた場所。後に、「寝ていて人を起こすことなかれ」と刻まれた石碑が一角に建てられたものの、長らく休耕田となっていた。

 石川さんは同年、農家仲間と「草木谷を守る会」を結成し、もち米や酒造好適米を減農薬栽培。地元児童や県立大生らに田植えや稲刈りなどに加わってもらい、収穫祭での餅つきは恒例行事に。酒米で仕込んだ純米酒の売り上げは、会の運営費に充てている。

 草木谷は地元に活気をもたらしつつあるものの、山田地域の行く末は心配だ。「約40年前は150人ほどいたが、今は60人ほど。どうすればいいのか。理紀之助の言葉や考えをもっと勉強していれば…と思うこともある。今は淡々とやるべきことをやるだけ」

 水田を覆っていた雪は解け、農作業のシーズンはもうすぐ。石川さんは、県内外の農家を導いた理紀之助を思いながら、この春も水田に立つ。

(2012/04/08 付)

特集

2013あきた参院選
今夏の参院選、関連ニュースなど更新。投開票日には開票速報を行います
東日本大震災
2011年3月11日に発生した未曽有の巨大地震。秋田、そして各地の関連ニュースを更新
第29回さきがけ文学賞
入選(最高賞)は、安藤オンさん=ドイツ=の「出家せば」に決まった
台湾で「台日鼓舞節」
東北地方の観光地を支援しよう―。台湾中部で、民間の文化交流イベントが開かれた(4/13更新

スポーツ特集

東北高校選手権
インターハイの出場権を懸けた戦いが開幕
第59回全県高校総体
集中開催が終了。21日から水泳競技スタート。目指せインターハイ
がんばれ!豪風
9勝6敗で夏場所を終えた豪風。次の場所はどこまで番付を上げるのか期待

連載企画

あしたの国から
高齢化が進む日本の中でも一歩先を行く秋田県から、人口減、高齢化を考える(6/20更新
白神とともに 遺産登録20年
白神山地が世界遺産登録されて20年。いま一度、その価値を見直してみたい(6/7更新
共に歩む 「あの日」から2年
被災地に寄り添い、被災者と共に歩む本県関係者の目を通じて「被災地の今」を伝える(3/10更新
おうちで介護食
管理栄養士2人が、おいしく食べやすい介護食を紹介する。レシピの動画付き(6/15更新
あきた発 東北再生
震災後の東北復興のけん引役として、秋田県が果たすべき役割を探る(9/12更新
見つめる
何げない風景、人間模様、ふるさと…。記者が見つめたさまざまな「物語」を届ける(5/5更新