あきた発 東北再生 第4部・インフラはこれでいいのか
日本海側「虫食い状態」
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全国の高速道路地図を見ると、日本海側の「虫食い状態」がよく分かる。秋田、山形、福井、島根などで高速道が部分的に途切れているのだ。このうち新潟―山形―秋田―青森の日本海沿岸東北自動車道(日沿道)は、計画延長322キロのうち開通したのは半分の167キロにすぎない。

東日本大震災では、災害時の補完機能を果たす代替道路、物流ルートの重要性が明らかになった。太平洋側と日本海側、東日本と西日本が相互にバックアップできる国土形成は災害に強い国づくりのために急務だ。特に日本海側の「縦軸」は連結しておらず、国として大きな不安を抱えていることになる。
日本海側の高速道整備が遅れたのはなぜか―。国内の高速道整備は高度経済成長期の1963年、名神高速道の一部開通から始まった。太平洋側の都市間を結ぶことが主眼だった。
「産業が集積し、人口が多い所から優先して道路を造るのは世界の趨勢(すうせい)だ。ローマ時代の道路も同じ。日本だけが特別なわけじゃない」。道路予算の配分に影響力があるとされた元自民党道路調査会長で、農相を務めた野呂田芳成さん(81)が語る。
都市間の移動が便利になると、産業や人はますます都市に張り付き、太平洋ベルト地帯を中心とする国土軸は強固になり、日本海側との格差は広がった。
東京一極集中の是正が叫ばれたバブル経済さなかの87年、第4次全国総合開発計画が策定された。多極分散型の国土形成を目指す高速道路ネットワーク計画(総延長1万4千キロ)に、日沿道など地方路線整備が組み込まれた。列島を縦横する高速道整備は本格化したが、地方が望むようなスピードでは進まなかった。
やはり党道路調査会長だった元官房長官、村岡兼造さん(80)は「通行量が少なく、採算が取りにくいとみられた路線は後回しにされた。国の財政が厳しくなり、事業が始まっても少しずつしか予算が付かなかった」と振り返る。高速道が既にある都市部選出国会議員と、未着手区間を抱える地方選出議員の間には高速道整備に対する「温度差」もあり、一気に整備を進展させるのは難しかったという。
道路をはじめとする公共事業予算は98年度をピークに減少。本格的な高齢化社会に入り、年金や医療といった社会保障予算が膨らんだ。公共事業不要論は高まり、民主党への政権交代後も「コンクリートから人へ」の方針で、公共事業予算の削減は続いた。
日本列島に、はしごを掛けたような道路網を造る国土構造を持論にしてきた野呂田さんは「(高速道など)太平洋側の軸だけでは駄目だということが震災ではっきりした。日沿道の整備を急ぎ、日本海側の軸を強化しなければいけない」と訴える。経済と効率性重視で進められてきた道路網の構築には今、災害対策という視点が求められている。
- (1)高速道路網(上) 日本海側「虫食い状態」(2011/10/13)
- (2)高速道路網(下) 日沿道を災害対策に(2011/10/14)
- (3)2度断絶した送電系統 日本海側の強化図れ(2011/10/15)
- (4)港湾の機能強化 復興支える整備必要(2011/10/17)
- (5・完)鉄道網の整備 支え合える軸形成を(2011/10/18)


