あきた発 東北再生 第7部・観光のけん引役に
風評克服へ誘客に力
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今月6日、福島市に東北6県の旅館、ホテルの同業組合代表が集まった。福島第1原発事故による風評被害の損害賠償について、東京電力側と交渉するためだ。
「東北はどの県も同じように危険だと思われている」「風評が払拭されなければ、(東北対象の)JRの観光キャンペーンは効果が見込めない」。出席者は観光需要の回復の妨げになっている風評の深刻さを訴えた。
国の原子力損害賠償紛争審査会は昨年、原発事故後の旅行に関する意識調査(回答者約7千人)を実施した。本県を含め東北6県は全て、「旅行先として避けたい地域」の上位10県に挙げられた。
本県の空間放射線量は原発事故後も通常値だ。東日本大震災による直接被害も少なかったが、風評被害はあった。仙北市田沢湖の秋田共栄観光は秋田、宮城、福島3県で計8ホテルを経営。宮城、福島両県で営む5ホテルの2011年度の売り上げは、復旧・復興関連の工事関係者らの宿泊などで、前年度を上回る見通しだ。
ところが県内の3ホテルのうち、プラザホテル山麓荘(仙北市)は震災後の旅行の自粛、団体旅行客減で前年度割れが見込まれるという。同市にあるもう一つのホテルと鹿角市のホテルは前年並みにとどまる見込みといい、本県観光業への影響が浮き彫りになっている。
「(宮城、福島での)工事関係者らの予約は減っている。復興需要がなくなれば、会社全体として震災前の水準を保てるのか分からない」と、山麓荘の田口正一取締役支配人。本来の観光目的の需要を取り戻せるのかどうか描けないでいる。
こうした中、本県は4月、「観光文化スポーツ部」を新設する。人口減が進む中での地域振興の戦略だが、震災で直接被害が少なかった本県が誘客に力を入れることで、東北全体に波及効果をもたらしたいとの狙いもある。
佐竹敬久知事は「(震災後の)東北観光は本県が引っ張っていく」と強調。首都圏や近畿、中部地方などの大都市圏から東北を訪れる観光客は2泊以上滞在し各県を巡ることが多いとみられ、県は観光客を呼び込むことは他県への周遊につながるとみている。

佐竹知事は昨年夏、東北の安全性をアピールするため、山形県知事と共に台湾を訪問した。県は新たなキャッチコピー「あきたびじょん」のポスターを首都圏でも大々的に張り出し、観光客誘致を図る。
観光庁は3月から1年間、約8億円をかけて東北の観光地を全国に売り込む「東北観光博」を展開する。観光地の集中的なPRや観光案内人の配置などにより、長期滞在・周遊型の旅行を促す。
ただ財団法人日本交通公社(東京)の大野正人理事は「イベントやキャンペーンのみでは、本質的な再生につながらない。東北は面積が広い割に交通網の整備が遅れており、駅や空港からのアクセスが課題だ。誰をターゲットとし、どのような観光地を目指すかという明確なビジョンも必要だ」と指摘する。
- (1)[県の試み、国の後押し]風評克服へ誘客に力(2012/02/15)
- (2)[落ち込む韓国人客]「起爆剤」をいち早く(2012/02/16)
- (3)[台湾人客の回復]他県との連携不可欠(2012/02/17)
- (4)[デスティネーション・キャンペーン]隣県資源生かし誘客(2012/02/18)
- (5・完)[国文祭の本県開催]文化資源に交流推進(2012/02/20)


