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あきた発 東北再生 第9部・地域防災どう築くか

[津波の堆積物調査]

過去を知り、被害予測

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 東日本大震災を受けた県の地震被害想定見直しが昨年から、17年ぶりに進められている。秋田大学や秋田地方気象台の代表ら12人で組織する調査委員会が来年6月をめどに、地震の大きさや建物被害を詳しく予測する。

 この中で初めて行われるのが「津波堆積物調査」。地中の砂などを調べ、過去の地震による津波がどこまで押し寄せたかを確認、今後起こり得る津波被害を予測しようというものだ。過去に起きた地震の規模が、解明されることもあり得るという。

写真の(上)津波堆積物(砂)は1960年に発生したチリ地震のもの、(下)は1500年ごろのチリ地震のもの=2004年2月、チリの海岸(鎌滝准教授提供)

 調査を担当する秋田大地域創生センターの鎌滝孝信准教授(40)によると、海に面した陸の低地をボーリングして垂直方向に土を数メートル調べることで、過去に津波が押し寄せた場所と時期が分かる。鎌滝准教授は「連続した泥の層の中に一部分だけ粗い砂や小石の層があった場合、その砂や小石は採取場所以外から運ばれてきたと考えられるからだ」と語る。

 層の中から見つかった微生物の化石を調べた結果、微生物が海に生息していたものだと分かれば、砂や小石は海に由来すると考えられ、津波で運ばれた可能性が高くなる。植物や貝殻の化石を調べ、砂や小石を挟む上下の泥などの層の堆積年代を特定、津波の発生時期を明らかにすることができるとする。

 調査委は、橋の建設など国や県の公共工事の際に行われたボーリング調査結果を見直したり、地形図や空中写真、現地調査によって調査地域を五つに絞り込み、夏ごろからボーリング調査を開始。標高5メートル以下の平たんな場所が調査地域の条件だ。こうした地域の代表は潟上市から男鹿市南部にかけての一帯。湖や沼にも、津波による堆積物が残っている可能性が高いという。

 鎌滝准教授によると、津波堆積物の調査は、大地震の可能性が指摘されていた太平洋側で盛んに行われてきたが、日本海側では少ない。東北大が2005~09年に宮城、福島両県の太平洋沿岸で行った調査では、貞観地震(869年)の津波が内陸部に及んでいたことが判明。過去の地震規模を解明する鍵となった。

 本県沖には大地震が発生していない「空白域」が存在しているものの、鎌滝准教授は「ここだけ過去に大地震が起きていないとは考えにくい」と指摘。「地中の土には、1メートルの堆積で千年分の情報が含まれている。調査結果から、過去に発生した大地震を読み取ることができるかもしれない」と話す。

 調査委による調査対象は5地域だけだが、県内沿岸部をより広範囲にわたって詳細に調べることができれば、日本海側で発生した大地震を突き止められる可能性もある。鎌滝准教授は「本県の津波堆積物の分布をさらに詳しく解明できれば、秋田沖だけにとどまらない過去の連動地震が分かる可能性もあり、東北の日本海側の地震被害想定の参考にもなる」と話している。

<第9部・終わり>

(2012/05/25 付)

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