[第2回]

望郷の民謡酒場・上

(2017年5月19日 掲載)
東京・浅草にある小梅茶屋。4月21日夜「民謡酒場で猥歌を聴く呑み会」が開かれた

浅草で秋田の艶歌を聴く

 「こんなに若い人がいっぱい来るなんて、びっくりだな」

 2017年4月21日、東京・浅草にある民謡酒場「小梅茶屋」は20代から40代の客で満員である。女性のお客さんも多い。本日の主役・小松貞雄こと、田口利男さんは三味線を片手に舞台の上から語りかける。

 「俺は秋田から東京に出てきて60年近くなるけど、いまだに標準語が話せません」

 利男さんの飄々とした秋田訛りの口上に会場から笑いが起こる。そして、利男さんの妻で女将の小梅のり子(本名・記子)さんが太鼓を持って登場して演奏が始まった。

小松 和彦(こまつ・かずひこ)
 1976年秋田市生まれ。青山学院大文学部史学科(考古学専攻)卒。在学中に東北アジアの学術発掘調査に参加。99年カンボジアのNGO活動に参加したのをきっかけにアジア・アフリカの民族文化や手仕事に関心を抱き、各地の美術工芸品の収集・販売を始める。2006年父の跡を継ぎ、秋田駅前で工芸品を展示・販売する小松クラフトスペース代表に就任。11年から秋田県内の遊郭・色街の調査活動を始め、16年に「秋田県の遊廓跡を歩く」(カストリ出版)を刊行。「縄文文化」「世界の民族工芸」「遊廓」などに関するレクチャーを京都、秋田の美術大学や博物館などで行っている。