[第3回]

望郷の民謡酒場・下

(2017年6月19日 掲載)
「小梅茶屋閉店の宴」の手描きポスター

小梅茶屋の終焉

 1963(昭和38)年、吉原の民謡酒場「秀子」の人気歌手・佐々木貞勝、小松みどり夫妻は独立し、同じ吉原に「みどり」を開店する。弟子の田口利男さんも師匠の二人を追って「みどり」で働くことになった。最初は会計や雑用をこなす毎日だったが、次第に舞台に上がるようになる。

 「佐々木先生が酔っぱらうとお客さんが帰る前に寝てしまってな。そんなときに先生の代わりに三味線とか尺八をやるようになったのさ」

 1970(昭和45)年には師から小松貞雄の芸名を授けられた。その頃、ビクターレコードから発売された小松みどりのレコードに利男さんも小松貞雄として三味線で参加している。