[第16回]

B1昇格!! チームとブースターの絆を深めたシーズン

(2018年5月17日 掲載)
B1昇格がかかるプレーオフ準決勝第2試合のティップオフ。ブースターが築いた桃色の壁が選手を後押しする

 CNAアリーナを後にした私は、雨にぬれる銀色のドームを眺めていました。あの場所で、つい先ほどまでB1昇格をかけた熱戦が繰り広げられ、そして私たち秋田ノーザンハピネッツは悲願のB1復帰を果たしたのです。ブースターの熱気をやさしく冷やすかのような小雨に打たれながら考えていたのは、B1を目指す長い旅が、今日ようやく終わったのだということ。もちろん嬉しいのですが、まだ言葉がうまく整理できません。

おかわりを控える日々

 リーグ最多の54勝、勝率9割という成績をもってしても、熊本ヴォルターズとのプレーオフ準決勝を不安に感じていたブースターは多かったのではないでしょうか。私の友人も試合前日、「怖くて怖くて涙が止まらない。どうしたらいい?」とメールを送ってきたほどでした。それほどまでに去年のあの降格の瞬間がトラウマになっていたのです。能天気な私も、ここ1週間は胃が締め付けられ、おかわりを控える日々を過ごしてきました。しかし選手たちは平常心でここ一番の大勝負に挑み、見事な結果を残したのです。

 2日目の試合中、私はぼんやりとbjリーグ時代の有明ファイナルのことを思い出していました。あの時「秋田の声援は自分たちの上からのしかかり、足を止める」と言った相手の選手がいました。あれからBリーグが誕生し、チームを取り巻く環境はずいぶん変化したけれど、秋田のブースターの力は変わらなかった、むしろパワーアップしたと感じたのです。

 B2降格が決まった時、予想されていたのはネガティブなことばかりでした。観客が減る、スポンサーが離れる、露出が少なくなる。私自身もパワーダウンを免れないものと考えていました。しかし、実際にはそうではありませんでした。ハピネッツの今季ホーム戦の1試合平均観客数は昨季より161人減ったものの、B2では最多となる2897人。私の周りのブースター仲間は離れるどころか、もっとチームの後押しをしたいという人ばかりでした。だからこそ、北は青森から南は熊本まで、今季も多くのクレイジーピンクがアウェーに駆けつけたのです。そして、その気持ちが最後に現れたのがプレーオフセミファイナルでした。

相手の足を止める桃色の壁

 相手の足を止め、上からのしかかる桃色の壁。熊本のフリースローには、すかさずベンチのメンバーがブースターをあおり、大ブーイングを巻き起こします。そのたびに相手選手の顔がこわばるのがわかりました。スティール、ディフェンス、ワンプレーごとにわき起こる4909人の大歓声。これが秋田のホームアドバンテージなのだと、あらためて実感しました。Bリーグになって軒並み他チームも観客を増やしていますが、選手とブースターとの信頼感、そして愛がこれほどまでに満ちたアリーナはあるでしょうか。どん底から始まった今シーズン、しかしチームとブースターがより一層絆を深めた9カ月でした。私たちはどんなビッグクラブでも得難いものを手に入れた気がします。

B1昇格決定後のセレモニー

 長い旅を終えた、と先に書きましたが、週末には最後の大仕事である「B2優勝」をかけた戦いが待っています。その後、3カ月の充電期間をおいて、新しいステージへの挑戦が始まります。B1での戦いは熾烈なものになるでしょう。Bリーグ初年度のような辛い道のりが待っているかもしれません。けれども、大丈夫。ホームで、遠く離れたアウェーで、チームの背中を後押しし続けるブースターがいる限り、どんな状況も乗り越えられるはずです。

 また私のアリーナグルメ探求の旅も続きます。B2は馬刺しに始まり馬刺しに終わるというまさに馬肉リーグでしたが、B1ではどんな食が私を待っているのでしょうか。初年度のレバンガ北海道、滋賀レイクスターズを超える感動を味わうことはできるのか。今からリサーチして備えたいと思います。情報提供、お待ちしております。

ヤマグチ・ユカ
プロバスケBリーグ、秋田ノーザンハピネッツのアウェー会場を中心に出没するブースター。ツイッターアカウント名「ピンクモジャ」。ユーモアとチームへの愛情あふれるツイートが一部のブースターの間で人気。観戦前は対戦相手の地元の名物料理を食べて気合を入れる。秋田市出身、東京在住のワーキングウーマン。時折かぶる変なお面の下は秋田美人?
ツイッター@crazypinkmoja