世界禁煙デー秋田フォーラム2019 ケムリムリ! 北東北3県は嫌煙の仲です!

(2019年6月29日 付)

 「世界禁煙デー秋田フォーラム2019」がこのほど、秋田市中通のカレッジプラザで開かれた。「ケムリムリ! 北東北3県は嫌煙(けんえん)の仲です!」をテーマに、禁煙の推進活動に力を入れる医師たちが秋田、青森、岩手の受動喫煙防止対策に関する現状を講演。シンポジウムでは、3県が手を取り合い、たばこ問題の解決につなげていくことを誓った。参加した市民ら約100人は、熱心に聴講していた。県、県医師会、協会けんぽ秋田支部、秋田・たばこ問題を考える会の主催。

ディスカッション:受動喫煙ゼロへ3県の力を結集

  • 【司会】
  • 秋田県医師会常任理事・三浦進一 氏
  • 【パネリスト】
  • 青森県タバコ問題懇談会代表世話人・久芳康朗 氏
  • 岩手禁煙推進ネットワーク代表・小西一樹 氏
  • 秋田・たばこ問題を考える会代表・鈴木裕之 氏
  • 子どもに害教える

     三浦 禁煙に関する講演会を行うと、実際に足を運んでくれる人たちはたばこを吸わない人が多い。

     小西 それはどこも同じ。そこで私たちがとった作戦は、子どもを相手に喫煙の害を教えること。ポスターコンクールの開催もその一環だ。両親だけでなく、祖父母にもポスターを見に来てもらい、たばこのリスクを一緒に学んでもらうことも狙いとしている。多くの資料にもあるように30~40代の子どもの親の喫煙率が高い。子どもを通して禁煙の重要性を伝えたい。

     三浦 禁煙外来の患者さんが減ってきているとも言われているが、加熱式たばこの影響もあるのでは。

     鈴木 「たばこを吸っていますよね」と尋ねると、「吸ってません。加熱式たばこです」と言う人がいて大変困っている。こんな間違った認識が広がっている。加熱式たばこも紙巻きたばこも一緒だということを、われわれが声を出して話していかなければと感じている。

    農家の転作支援も

     三浦 各県の動きについて教えて欲しい。

     小西 県に働きかけはしているが、「喫煙率が下がるとたばこ農家が困る」と言われることが少なくない。

     久芳 青森にもたばこ農家はいるが、減ってきている。八戸市では転作支援でワイン用のブドウを作ってもらい、そのブドウを買い上げて新しいワインのブランドにするという取り組みを行っている。3年ほど前にスタートしたもので、まだこれからの事業だが、他の地域にも広がってほしい。

     鈴木 秋田にもたばこ農家は多い。たばこ販売の関係者で共同体をつくっているため、たばこを減らしていく壁は大きい。

     三浦 受動喫煙防止条例をつくるにあたって、一番抵抗感が強いのが飲食店。「死活問題」と訴える店主もいる。しかし、いい店は生き残ることができるし、子どもを含めた家族で足を運べる環境をつくるのは、居酒屋であっても大事なのではないか。

     久芳 たばこ対策として、いろいろな店舗にステッカーが貼ってあるが、私の考えでは「喫煙可能」と書いてある飲食店は「受動喫煙の恐れがある店」と認識してもらうよう活動を進めたい。

     小西 喫煙可能の飲食店はまだまだなくならないだろう。私たち利用者が考えて店を選ぶという意識が必要だ。

     鈴木 秋田は条例が成立すれば、従業員がいたり、未成年が立ち入る飲食店ではたばこを吸えなくなる。これからもお客さんはもちろん、働く人の健康を守らなくていいのかというメッセージを発信していきたい。

    講演1:条例制定を県に要請

    青森県タバコ問題懇談会代表世話人 久芳康朗氏

    「最短命県脱出には禁煙が第一」となっていない青森県での突破口を目指して

     青森県の平均寿命はずっと断トツワースト1位。成人男性の喫煙率は2004年から13年までずっとワースト1位で、16年には2位になったものの、依然として喫煙率が高い。女性もワースト2位が続いている状況だ。喫煙率と平均寿命の相関を見ると、平均寿命が短くて喫煙率が高いのが青森。この結果からも分かるように、たばこ対策は大きな課題と言える。

     青森県タバコ問題懇談会では、12年に「タバコのない青森へ10の提言」を行った。その中で受動喫煙対策の一つとして、県内すべての小中学校の敷地内禁煙を挙げている。14年には全校敷地内禁煙となったはずだが、その後なぜか逆戻りしている地域がある。

     また、青森県の調査によると、未成年の喫煙経験率は年々減少しているが、30~40代の子どもたちの親の喫煙率は父親が50%、母親が20%という結果が出ており問題だ。

     私が青森県の対策で一番評価できると感じた制度は、県と取引のある事業所は受動喫煙対策を取らなければならないとしたところ、170事業所が禁煙になった。受動喫煙防止の条例化については今年2月、県に要請書を出している。

     受動喫煙ゼロに向けては▽改正健康増進法の厳格適用▽条例制定▽屋内全面禁煙を常識にさせること─の3本柱が重要。さらに運動と禁煙を実践していくことが、青森が短命県を脱出するカギになるはずだ。

    講演2:吸い殻拾い活動続ける

    岩手禁煙推進ネットワーク代表 小西一樹氏

    タバコのない きれいな街もりおか

     岩手禁煙推進ネットワークでは、吸い殻拾い活動を行っている。13年続けて毎年、4~11月までの第4日曜日が活動日。吸い殻拾いには、毎年500人以上が参加。昨年は504人が参加し2万2千410本を拾った。参加者は禁煙マークのゼッケンを着けながら、うちわやのぼりをはためかせ、「たばこを減らす」という目的を明確にしながら活動しているのが特徴だ。このほか、子どもたちを対象に毎年、禁煙ポスターコンクールも開催し、昨年は153点の応募があった。さらに過去7年間、盛岡市長に受動喫煙防止条例の制定を要請し続けている。

     2013年の地元紙に「県中部保健所は、空間や時間を区切った分煙に取り組む管内の飲食店を、たばこの煙から健康を守る店として公認する事業を開始した」という記事が掲載された。不完全な分煙なのに、このような事業を始めたのはひど過ぎると思い、すぐに新聞に投書した。日本禁煙団体などから賛同してもらい、岩手県知事にも抗議した。岩手県の回答には「たばこの煙から健康を守る店」という文章を消し「受動喫煙防止対策に取り組んでいる居酒屋などを協力店として認定する」に変えるとしていたが、いずれにしても県の意識が遅れていることを痛切に感じた。

     今後も喫煙者を減らすことを最大の活動目標とし、多くの人を巻き込んで賛同者を増やし、行政との協調も探りながら地道な草の根活動を続けたい。

    講演3:30~50代男性、喫煙目立つ

    秋田・たばこ問題を考える会代表 鈴木裕之氏

    秋田県の禁煙活動 ―現在・過去・未来―

     秋田は1997年にがんの粗死亡率ワーストワンになってから、22年間ずっとトップを走り続けている。健康寿命も男女で下位に甘んじている。そして喫煙率の推移は2010年を境に全国に置いていかれている状況。喫煙率の内訳は、30~50代の働き盛りの男性の喫煙が目立つ。引きずられるように女性も高く、この年代の喫煙率をどう下げていくかが大きな課題といえる。もう一つは受動喫煙。県が調査した受動喫煙に遭った場所は、飲食店と職場が圧倒的に多い。これは全国的にも似た傾向で、受動喫煙の場所をどうしていくのかも考えていかなければならない。

     たばこに関する県の活動の一環としては、JR秋田駅前での世界禁煙デー街頭キャンペーンや「たばこの煙で困りましたカード」の配布を行っている。また、18年には県庁舎の敷地内禁煙が実施された。今後は県受動喫煙防止条例が成立されるのか注目されている。駅や空港の屋内禁煙、イベント・屋外での望まない受動喫煙防止などの条例内容は、他県にはない特長で全国的にも評価されている。

     秋田・たばこ問題を考える会では、世界禁煙デー秋田フォーラム、受動喫煙防止秋田フォーラム開催などの活動を行っている。これらのイベントの特徴は、われわれの会と県、県医師会、協会けんぽの4者が共催しているところ。今後は、さらに近県組織とも連携しながら、たばこのない社会を目指して活動を続けていきたい。