日本人の2人に1人ががんになる時代

(2019年7月27日 付)

 日本では、「一生のうち2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで死亡する」と言われています。がんはめずらしい病気ではなく、誰もが罹患(りかん)する可能性がある病気です。早期に発見し、適切な治療を行うことで生存率は高まります。

アルコール、喫煙 生活習慣が関係

秋田県総合保健事業団常務理事 戸堀文雄(とぼり・ふみお)氏

 厚生労働省は今年1月、2016年に全国で新たにがんと診断された人を男女計99万5千人超と発表しました。部位別で見ると、大腸、胃、肺の順に多く、都道府県別では人口10万人当たりのがん患者数がワーストの長崎県に次いで秋田県、香川県という結果でした。このように本県はがんの罹患率は常に高い状態が続いており、要因としてはアルコール消費量や喫煙率、塩分摂取量が高いといった県民の生活習慣が挙げられます。

 近年、日本のがんは、女性の場合はがんの発症が若年化の傾向にあり、20歳頃から子宮がんに罹患する人がいて、30代後半~40代が一つのピークとなっています。一方、男性は50歳くらいからがんになる人が増え、年齢が上がるにつれて罹患率が高くなっています。年齢別では、がん患者が一番多いのが70代です。がん全体では、全国と秋田県で大きな違いはないのですが、例えば、食道がんの年齢階級別罹患率のデータを見ると、秋田県の女性は全国平均と同じですが、男性は各年代で全国平均を大きく上回っています。これは先ほども説明したように、アルコール摂取量や喫煙率の高さが関わっていることが考えられます。

 日本人の2人に1人ががんになる時代と言われていますが、医療技術の進歩によって、「がんは治る病気」になってきています。完治のためには早期発見が大事ですが、そこで重要になるのががん検診です。がん検診を受けていると、やはり死亡率は下がります。国立がん研究センターによる多目的コホート研究によると、過去1年間に胃がん検診受診なしの人と比べ、検診受診ありの人では胃がんによる死亡率が半分に低下したという結果が出ています。また、胃がん検診を受けている人は健康にも気を使っていることから、全体の死亡率も20%以上低下しています。

 本県のデータ「がんの発見経緯別5年相対生存率」によると、発見のきっかけが「がん検診」および「健診・人間ドック」の場合の5年相対生存率がほとんどの部位で90%を超えています。特に胃・大腸・肺は「がん検診」「健診・人間ドック」以外の「他疾患の経過観察中」「症状受診・その他・不明」の発見理由との比較で20%以上の差がつきました。とにかく、がんが進んでしまってから見つけるのでは治療ができない場合もありますので、そうならないためには定期的にがん検診を受けるしかありません。

がん検診受診率 目標には届かず

 しかし、本県のがん検診受診率は低い状態が続いています。各市町村では検診を受ける人を増やすため、未受診者に保健師らが電話などで受診を働き掛ける「コール・リコール」を、県では受診者自己負担分を軽減・無料化する対策を行っていますが、目標とする50%にはまだまだ届いていないのが現状です。検診や人間ドックを受けない理由として一番多いのが「いつでも医療機関を受診できるから」、さらに「時間が取れない」「面倒だから」と続きます。でも、自分はもちろん、家族や社会のためにも検診は受けるべきです。県は中高生などを対象に、検診の重要性を子どもたちに教える「がん教育」を行っていますが、今後さらに教育に力を入れていかなければならないと感じています。

 そのほか検診や人間ドックを受けない理由には「費用がかかるから」という答えも少なくありません。確かに、がん検診は多くの種類がありますし、費用も時間もかかります。そこで例えば胃がんの場合、採血で将来どのくらい胃がんになりやすいかを明らかにする「胃がんリスク評価」があります。こちらの費用はそんなに高くありません。リスクが高いという結果が出たら毎年胃がん検診を受けたほうがいいですし、全くリスクが無いという結果が出た人は5年に1度くらいの検診で十分だと思います。また、身内に大腸がんや乳がんなどが多い場合は、遺伝的な素因を意識して定期的にがん検診を受けることをお勧めします。

 繰り返しになりますが、がんを早期発見して治療につなげ治すためには、症状がないうちこそ定期的にがん検診や人間ドックを受診するという心構えが必要です。自分の命と健康は、自分で守るしかないのです。