秋田県はがんによる死亡率22年連続ワースト

(2019年8月31日 付)

県特有のがん、ターゲットに

秋田大学大学院医学系研究科
医学専攻腫瘍制御医学系
地域がん医療学講座教授
本山悟(もとやま・さとる)氏

 秋田は、自殺率や出生率、婚姻率、平均所得などが全国でワーストを争う位置にあり、さまざまな問題が山積しています。がんの死亡率(人口10万人当たり)に関してもワーストが続く本県では10年くらい前から大きなテーマとして改善に向けて取り組んでいますが、最近は他の問題があまりにも大きすぎて、がん死亡率が依然として高いという意識が県民から少しずつ薄れていっているのではないかと危惧しています。

 がん死亡率が高い要因を整理すると「罹患率」「治療成績」「検診(予防)」の三つに絞られます。この三つを一つずつ改善していかなければ、がん死亡率を下げることはできません。国立がんセンターで公表されている、拠点病院の進行度別がん治療成績を見ると、全国平均と比較しても秋田は決して低くありません。治療成績が全国平均と同等であるということは、やはり予防と早期発見の対策が大事だということが分かります。

 県では昨年、第3期がん対策推進計画を策定しましたが、秋田大学医学部付属病院も積極的に策定に関わりました。まず行ったのが、県内のがんの現状を把握し、課題を見つけてその課題ごとにプランを立てる作業です。その中の一つが、秋田特有のがんが何かを調べること。男性は胃と大腸。女性は胃、大腸、子宮、乳がんという結果でした。医療の向上でがん死亡率が下がってきているなか、秋田では女性の子宮、乳がんが増加しているのは大きな問題です。これらの他、罹患が増えている肺がんもターゲットとする必要があることが分かりました。

早期がんの状態で大腸がんと診断された割合が高い医療圏ほど、死亡比で数値が低い傾向にあります

 また、検診に関しては受診率とともに早期発見割合を増やすことを目指し、検診の質向上や検診を推奨する「コール・リコール」に取り組むこと、さらには計画倒れにならないためのアクションプラン(行動計画)を盛り込みました。もう一つ、計画の目玉の一つとして、受動喫煙防止についても高い目標を掲げており、これらの内容は各方面から評価されています。県の計画はホームページで閲覧可能ですので、たくさんの県民に見てもらいたいです。

拠点病院ごとのデータ公表

 がんの予防ですが、食道がんについて面白いデータがあります。たばこは10年の禁煙でリスクが下がり、お酒は16年の禁酒で非飲酒者と同じリスクまで低下するというものなのですが、これはかなり時間がかかります。実は野菜や果物を摂取するとリスクは減らせます。例えば、毎日みかん1個程度の量の果物を食べるだけで急速にリスクが下がるという研究結果があります。

 2000年に発表された「お酒に強い遺伝子ランキング」では、秋田は77%で堂々の1位でした。お酒に強い人は、エタノール(お酒)が代謝されてできるアセトアルデヒド(発がん物質)の分解が早く、お酒を飲んでも顔色が変わりません。一方で分解の遅い人は少量の飲酒で顔が赤くなったりします。お酒をまったく飲めない人は食道がんになる可能性が極めて低いのですが、最も注意したいのは、飲酒で顔が赤くなるタイプ。お酒を長年飲んでいるうちに顔が赤くならなくなる人もいますから、私は「20歳で初めて飲酒したときに顔が赤くなりましたか」と質問をしています。気になる人は遺伝子検査を受け、酒量など気を付けることをお勧めします。


早期がんの状態で胃がんと診断された割合が高い医療圏ほど、死亡比で数値が低い傾向にあります

 最後に皆さんにお知らせしたいのは、秋田県がん診療連携協議会では2014年から国立がんセンターに先駆けて、拠点病院ごとのがん患者数、手術数、がん種別で病院ごとの生存率を公表しています。なぜ、公表しているのかというと、患者さんたちに病院選びの指標にしてほしいからです。自分が胃がんになったら、白血病になったら、自分が行こうとしている病院でどんな治療を行っているのか、手術や治療成績はどのくらいなのかを知りたくないですか?残念ながら今のところ反響が少ないのですが、常にデータを更新し、がん罹患率がトップクラスである秋田県のがん患者さんたちがアクセスしやすい状態にしています。ぜひ、病院選びに活用してください。

▽秋田県がん診療連携協議会
http://www.hos.akita-u.ac.jp/onco

▽資料:「統計で見る秋田県のがん」より
http://www.ccstat.jp/akita/