10月はピンクリボン月間です

(2019年9月28日 付)

多様な状況に応じて治療

秋田大学医学部付属病院
乳腺・内分泌外科
寺田かおり医師

 最近のデータでは、一番多い乳がん患者さんの年代は40~50代。15~39歳の思春期から若年成人までのがん患者を「AYA(アヤ)世代」と呼びますが、AYA世代の中での乳がん患者さんは20代から増加し始め、30~39歳で最も多くみられます。ただし、全体でみると5%と少ないのが現状です。

 乳がん患者さんは、どの年代でも生活の質を考えて治療をしなければいけませんが、特に若い方の場合は、長く再発せずに根治を目指すことに加え、結婚・出産・子育てといったライフイベントなど人生の基礎をつくる時期と重なるため、患者さんが独身なのか、お子さんがいるのか、今後お子さんをもうけることを希望されるのか、仕事はしているのかなど多様な状況に応じて治療方針を決定していくことが重要になります。

 治療をしていく上で、乳房再建や妊娠・出産への備えに関しどこまで備えるのかも考慮する必要があります。ホルモン受容体が陽性の人はホルモン療法が5~10年とされています。例えば30歳の患者さんは、ホルモン治療が終わるころには40歳になっています。その間は妊娠ができませんし、さらに抗がん剤の種類によっては卵巣機能の低下が起こり閉経の要因になることがあります。治療開始前に卵子凍結保存、パートナーがいる方には受精卵凍結保存という方法(妊よう性温存)もあります。しかし、これらは自費となるためお金がかかります。秋田ではウィッグの助成金制度はありますが、今後は妊よう性温存に対する助成も期待されるところです。

自己検診は見る・触る・絞る

 乳がんは、自分の乳房のしこりを触って発見できる可能性があるのが最大の特徴。普段から乳房のセルフチェックを行っていれば、早期発見につながります。セルフチェックのメリットは、自分の乳房の状態を把握することで小さな変化に気付きやすくなることです。頻度としては月1回。月経が終了してから1週間から10日の間に行ってください。閉経後の人は、誕生日の日など自分が覚えやすい日にちを決めるといいでしょう。

 具体的なセルフチェックのキーワードは「見る」「触る」「絞る」の三つ。まず鏡の正面に立ち、乳房や乳頭の向きの左右差、皮膚がくぼんでいる箇所がないかチェックしましょう。入浴前などに、鏡の前で両手を挙げながら確認するのもお勧めです。触る際は、手のひらで縦と横に触ります。胸が大きく分かりにくい人は、あおむけに寝た状態で行ってください。さらに、脇の下のリンパ節が腫れていないか確認してください。最後は、乳頭を絞り分泌物が出ないか調べましょう。分泌物が赤や茶色、黒っぽい場合は血液が混ざっている可能性がありますので、早めに受診してください。

 私も関わっている県ピンクリボン実行委員会では、多くの県民のみなさんに乳がん検診について興味を持ってもらうため、毎年10月のピンクリボン月間に合わせて、キャンペーンイベントを開催しています。今年は10月5日(土)にイオンモール大曲で行います。ステージイベントのほか、乳がんについての講演会、自己検診体験や健康クイズ、キッズコーナーなどを設けて楽しみながら乳がんについて考えてもらう機会にしたいと思っています。ぜひ、ご来場ください。

元気なうち「万が一」に備えを


生命保険協会秋田県協会
(住友生命保険相互会社秋田支社長)
長代良子(ちょうしろ・りょうこ)会長

 がんの3大治療といえば、手術・放射線・抗がん剤治療ですが、この多くは公的医療保険の対象となり、70歳未満であれば自己負担が3割です。さらに年齢、収入によって自己負担額が一定額を超過すると、高額医療費制度で超過分を賄うことができます。一方、入院中の食事代や差額ベッド代金は公的医療保険の対象にはなりません。また、高額な先進医療は全額自己負担です。がんになると、医療費の問題だけでなく、従来通りに働けなくなって世帯収入が減ったり、身体的に後遺症が残り、住まいのリフォームを考えなくてはいけないケースも出てきます。私たち生命保険会社は、このような自己負担の部分をしっかり保障することが仕事です。

 がん保険の種類はさまざまで、一般的には入院や手術で給付金が出るもの、がん診断や女性特有のがんに対しての給付金、先進医療に特化した商品、がん診断後に保険料を免除するサービスもあります。最近は通院での抗がん剤治療への対応や、セカンドオピニオンサービスが付いた商品もあります。多くの人は元気なときは「がんは自分に関係ない」と思いがちですが、お伝えしたいのは「元気なうちに正しい情報を集め、万が一に備えることが大事」ということ。がんになってから、お金の問題で治療の選択肢が狭くなることだけは避けてもらいたいのです。

増えている「健康増進型商品」

 近年の保険会社は「備え」だけでなく「がんにならないための取り組み」にも力を入れています。がんは遺伝的な要因があると思われがちですが、実際は生活習慣病が原因であることが少なくありません。そこで各保険会社では、健康診断を受けたり、歩いた分だけ保険料が安くなるなどの「健康増進型」の商品を提供しています。健康を意識する習慣を促すことで、がんの罹患率が少なくなり、結果的に健康寿命も長くなることにつながります。