たばこと健康を考えるセミナーin大館市 受動喫煙、子どもに悪影響

(2019年10月26日 付)

 「たばこと健康を考えるセミナーin大館市」が10月5日、大館市の中央公民館で開かれました。セミナーでは講演やパネルディスカッションを通じて、市民ら約70人が喫煙や受動喫煙のリスクについて理解を深めました。県と県医師会、大館市、秋田魁新報社でつくる実行委員会の主催。セミナーは昨年から各地域を巡回して行われており、今年は同25日に大仙市で行われたほか、11月6日には秋田市でも開催を予定しています。大館セミナーの模様を一部紹介します。

大館市の中央公民館で行われた「たばこと健康を考えるセミナーin大館市」

講演:大人の禁煙、子どもの防煙 ~健康を守るために、タバコ無煙をめざして~

たばこは「毒の缶詰」

光智会大館園施設長・西大館病院小児科 高橋義博氏

 喫煙者は年々減ってきているものの、まだまだたくさんいる。都道府県別で見ると、秋田の男性は7位、女性は19位と上位だ。秋田はがんで亡くなる人が多く、たばこが原因の肺がんが増えている。たばこを吸う人をなくすことが、がんで亡くなる人を減らすことにつながる。

 たばこが原因で日本では年間13万人が亡くなっている。健康で長生きするためには、思い立ったらたばこをやめるのが一番。喫煙者と非喫煙者を比べると、喫煙者のリスクは脳卒中全体で非喫煙者の1・5倍、脳梗塞は1・9倍、命に直結するくも膜下出血は2・9倍。受動喫煙で心臓病が増えているというデータもある。息が吸いにくくなるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)のリスクも高まるなど、たばこはいろんな所に悪さをしている。

 たばこの煙には、どれだけ体に悪いものが入っているか? 答えは250種類で、発がん性物質は60種類以上。家庭内でダイオキシンを一番発生させるのがたばこ。子どもたちには、たばこは「毒の缶詰」と説明している。受動喫煙によって、子どものアレルギー性鼻炎や気管支炎、発達障害などの影響も出ている。自宅で大人が喫煙する場合、ベランダや換気扇の下など場所を気にしているが、においがするだけで毒性の物質がたばこを吸わない子どもたちにも届いているということになる。

 たばこの煙の3大悪は、血管を縮め一度吸ったらやめられなくなる「ニコチン」、肺がんの原因「タール」、酸素が運ばれにくくなり息切れやぼけの原因となる「一酸化炭素」。たばこは運動機能を低下させ、顔のしわが増えるなど老化を早めることも報告されている。

 柔らかい表現を付したたばこもあるが、健康に悪いのは一緒。加熱式の新型たばこは一見、健康的に見えるがニコチンを吸っているのには変わりない。子どもは親のまねをする。自分だけでなく家族や他人の健康を害し、お金や時間の無駄使いとなるたばこ。みんな、たばこを吸わない大人になってほしいと思う。

パネルディスカッション コーディネーター:高橋義博氏

[大館保健所 健康・予防課専門員 兎澤真澄氏]受動喫煙対策事業を実施

大館保健所 健康・予防課専門員 兎澤真澄氏

 県では平成15年度から3年に1回、3千人を対象に郵送で健康づくりに関するアンケートを実施しており、その結果から大館保健所管内のたばこに関する状況を紹介する。

 15年度の喫煙率は、大館が33・3%で、県の27・4%より高かったが、30年度は大館15・7%、県16・5%と県より低くなっている。受動喫煙をする機会の割合は、家庭では調査を行う度に下がってきている。職場では「ほぼ毎日」と答えた人が27年の10・7%から30年は11%と横ばい。これは約10%の事務所がたばこ対策をしていないということになるが、県の条例が浸透すれば減ってくることが期待される。

 大館保健所では、主に三つの受動喫煙防止対策事業を実施。一つ目は、受動喫煙防止対策に自主的に取り組む「宣言書」を提出した事業所に対し、対策別に3種類のプレートを配布。二つ目は地域のイベントを活用し、スモーカーライザーによる呼気一酸化炭素測定や禁煙治療医療機関の紹介。三つ目は「おいしい空気の提供店」観光サービス向上事業で、アンケート結果を基にステッカー配布、禁煙店を案内するリーフレット配布などを行った。

 今後は、県受動喫煙防止条例が制定されたことの情報徹底に努め、対策が遅れる施設がないようにしていきたいと思う

[ありうら歯科医院院長 高橋正泰氏]歯周病リスク増、重症化も

ありうら歯科医院院長 高橋正泰氏

 たばこの害は口の中にも現れる。一番の問題になっているのが歯周病。1日10本以上喫煙するとリスクは5・4倍、10年以上吸うとさらに4・3倍に。重症化もしやすくなると言われている。さらに詳しく説明すると喫煙によって、①歯周病と戦う白血球の機能低下②ニコチンによって血管が収縮③歯肉修復に必要な線維芽細胞の動きを抑制―などが挙げられる。

 歯周病は、狭心症や心筋梗塞を引き起こす要因にも。動脈硬化は本来、不適切な食生活や運動不足、ストレスなどの生活習慣が要因とされていたが、近年は別の因子として歯周病の原因菌による細菌感染がクローズアップされている。歯周病原因菌の刺激によって動脈硬化を誘導する物質が出て、血管内にプラークができ血液の通りが細くなる。歯周病の人は、そうでない人の2・8倍脳梗塞になりやすいというデータもある。糖尿病との関係も報告されており、歯周病になると糖尿病が悪化することが明らかになっている。

 小児・胎児に対する受動喫煙の影響は多くあるが、歯周病や歯肉のメラニン色素沈着のリスクが高まることも報告されている。そして、喫煙者より受動喫煙が多い人のほうが歯周病は悪化する。

 たばこは、百害あって一利なし。それでもあなたは、たばこを吸い続けますか?

[花善常務取締役 川又賢二氏]平等性考慮、「全面禁煙」に

花善常務取締役 川又賢二氏

 当社は駅弁製造・販売、食堂の営業を手掛けている。たばこと飲食店の観点から話をすると現在、食堂は全席禁煙としており、建物外の駐車場に喫煙場所を設けている。全席禁煙への経緯は、平成20年頃に分煙をスタート。18年にJR東日本が新幹線などの列車を全面禁煙とし社会的に禁煙志向の高まりがあり、分煙であれば客足に影響がないだろうと判断した。

 そこからさらにお客さまから禁煙を望む声が多くなったため、社内で検討。「昼休みに一服できない店は選ばれない」「常連客が来なくなるのでは」など多数の意見が出たが、一方でたばこを吸わない人への配慮が足りないということも分かった。そこで「飲食店として誰もがおいしく食べてもらうための配慮」「喫煙しないスタッフへの配慮」を考えたとき、平等性を判断し平成23年に全面禁煙(建物内喫煙スペースあり)を決断。食堂は昼だけの営業ということもあってか、お客さまからは肯定的に受け入れてもらったと感じている。さらに25年には喫煙スペースを建物外に移し、現在に至っている。

 喫煙率の減少は今後さらに加速する。結果、禁煙化による業績悪化の影響は年々減っていくはず。長期的な視野で見れば、たばこを吸わない方々に向けた店作りや健康的な職場作りが大切であると考える。

秋田県からのお知らせ:受動喫煙防止条例について(県健康福祉部健康づくり推進課)

来春から喫煙場所規制へ

 健康に暮らせる「健康寿命」について本県は、2016年の調査で男性は全国最下位、女性は33位となっており、県では健康寿命日本一を目指し、オール秋田で健康づくりの取り組みを進めている。たばこ対策については「県受動喫煙防止条例」が来年4月に本格施行され、喫煙場所の規制がスタートする。

 条例は、国で定めた法律よりも一歩踏み込んだ内容。幼稚園や保育所、小中高校は「完全敷地内禁煙」が義務化。大学、医療機関、行政機関の庁舎などは「原則敷地内禁煙」。多くの人が利用する駅や空港などは「完全屋内禁煙」となる。事業所やホテル、飲食店なども「原則屋内禁煙」で、喫煙を認める場合は法の基準を満たした喫煙専用室の設置など対策が必要だ。このほか20歳未満の喫煙エリアへの立ち入り禁止、喫煙室の標識掲示が法律で義務づけられる。