たばこと健康を考えるセミナーin大仙市 大切な人のために禁煙を

(2019年11月30日 付)

 「たばこと健康を考えるセミナーin大仙市」が10月25日、大曲市民会館で開かれました。講演やパネルディスカッションを通じて、市民ら約60人が喫煙や受動喫煙の健康への影響について理解を深めました。県と県医師会、大仙市、秋田魁新報社でつくる実行委員会の主催。セミナーは昨年から各地域を巡回しており、今回で5カ所目。大仙市セミナーの模様を一部紹介します。

大曲市民会館で行われた「たばこと健康を考えるセミナーin大仙市」

講演:タバコと健康を考える~加熱式タバコもタバコ~

「新型」にも有害物質

秋田大学名誉教授・介護老人保健施設ニコニコ苑施設長 塩谷隆信氏

 国立がん研究センターが発表している「日本における成人喫煙率の推移」(1995年~2017年)のデータを見ると、男性は統計を取り始めた1995年は約60%。そこから喫煙率は年々下がってきているものの、一昨年の数字で男性は29%、女性は7・2%と下げ止まりの傾向となっている。たばこの値段だが、世界の中で日本がいかに安いかを知ってほしい。2014年の調査では、同じメーカーのたばこ1箱がオーストラリア2000円、ニュージーランド1700円、ニューヨーク1500円。イギリス1000円など。日本だけが470円とダントツに安く、いかにたばこが吸いやすい環境にあるか分かる。

 たばこの煙は、「主流煙」「副流煙」そして、口から吐き出した「呼出煙」があり、呼出煙と副流煙を合わせたものを、たばこを吸っていない人が吸うことが受動喫煙になる。喫煙者がそばにいる場合は受動喫煙を意識できるが、実はたばこの煙は部屋で喫煙すると、床やテーブル、ソファなどに成分が残っていて、喫煙者がいなくてもその部屋にいる人は受動喫煙しており、これを「3次受動喫煙」と言う。この場合は子どもや赤ちゃんなども被害にあう可能性がある。

 また、中国などで問題となっている大気中の小粒子状物質PM2・5。これは粒子の直径が2・5ミクロン以下を指すが、たばこの煙はもっと小さく典型的なPM2・5で、空気を汚染していることになる。場所が狭ければ狭いほど濃度は高くなるため、車の中や密室の部屋は特に注意が必要だ。

 最後に「新型たばこ」について知ってほしい。たばこの葉を加熱して蒸気を吸う「加熱式たばこ」が近年普及してきている。煙がなく、臭いも少ないため健康被害が少ないと誤解されるが、喫煙者が吐き出した呼気には有害物質が含まれている。一部の有害物質がカットされているとはいっても特殊なカメラで見ると煙は出ており、特にニコチンは従来のたばことほぼ同じ量が含まれている。かなり売れているようだが、少しでも害がないよう、実は健康に関心がある人が買っているのではないか。このような人たちには、周囲が正しい知識を教えながら禁煙するためのきっかけを与える行動をとってほしい。また、県内には禁煙外来もたくさんあるので相談してほしいと思う。

パネルディスカッション コーディネーター:塩谷隆信氏

[大曲仙北歯科医師会専務理事・たかはし歯科クリニック院長 高橋一臣氏]味覚衰え、歯も失いやすく

大曲仙北歯科医師会専務理事・たかはし歯科クリニック院長 高橋一臣氏

 たばこを吸っているとまず、味を感じる機能が低下する。抜歯時の傷の治りも遅い。口臭が強くなりがちで、何倍も歯を失いやすくなる。気付かないうちに歯周病が重症化し、かなりの状態まで歯周病が進行しても歯茎からの出血が少ない。喫煙者は非喫煙者と比べると歯周病リスクが高く、さらに歯周病は虫歯よりも歯を失う原因になっている。

 受動喫煙による健康への影響は色々あるが、子どもは2倍以上虫歯になりやすいとの報告が出ている。また、家族内に喫煙者がいる家の子どもはそうでない家の4~6倍歯茎の黒ずみが見られる。追跡調査で子どもの尿にニコチンが分解されてできるコチニンが入っていたという報告もある。

 かつては私自身、ヘビースモーカーだった。生まれて初めて飼った犬が10年前、11歳の時に気付いたらがんになっていた。当時、自宅の狭い書斎が喫煙場所で、犬は私の側にいたくていつも足元におり、人間の数百万倍も嗅覚が良い犬が、我慢して煙を吸っていたと思う。一番手放せないものを手放せたら奇跡が起きるのではないかと禁煙したが、1年間は本当にきつかった。その後、犬は亡くなったが、私の心の支えだったワンコが最後に私からたばこを引き離していったのだと思う。たばこの誘惑はしつこい。でも、大切な誰かのための禁煙が少しでも広まってほしい。

[セイコーインスツル・エイブリック秋田事業所衛生管理者 鈴木康子氏]粉じん量測定、協力得る

セイコーインスツル(株)・エイブリック(株)秋田事業所衛生管理者 鈴木康子氏

 わが社は、大仙市にある電子機器・部品の製造工場で、従業員は約500人。工場がかなり大きく、以前は喫煙所が5~6ヶ所存在していた。3年前に喫煙所を屋外に設置し、県の「受動喫煙防止宣言施設」建物内禁煙に登録し、従業員の意識付けを行った。現在の屋外喫煙所は、車2台分のカーポートを利用して周りを耐火性・耐久性のあるシートで囲って風よけとしている。

 今後の課題は、喫煙者が集中したとき、風向きによっては近くの玄関に煙が流れてくることと、車中で窓を開けて喫煙している場合、そこでも受動喫煙の危険があることだ。

 たばこ対策としては、基本的に国からの通達・法令・指針などが出たときに、社内の安全衛生委員会で話し合い、定期的に審議し、喫煙所を徐々に減らし最終的に1カ所にした。喫煙所を建物外に設置する際は、喫煙者からの反対意見も多かったが、屋内喫煙所から漏れる浮遊粉じん量を測定し目には見えないものを数値化して見てもらうことで協力を得た。また禁煙対策では産業医によるニコチンパッチの処方や女性喫煙者増に対しパンフレット配布などを行った。

 今後の目標としては、従業員の健康管理の観点からも、たばこの害や3次受動喫煙の知識を深めてもらい、敷地内全面禁煙に向けて対策を進めていきたい。

[大仙市立藤木小学校養護教諭 佐藤聡子氏]授業で喫煙の害学ぶ

大仙市立藤木小学校養護教諭 佐藤聡子氏

 養護教諭と担任とのT・Tによる健康教育の実践「考えよう!たばこの害」の6年生における学習を紹介する。6年生の保健教育の中で、喫煙の害をテーマに1時間の授業を行った。児童にたばこに関するアンケート調査を実施後、学習の狙いを「喫煙が健康に及ぼす影響や発育期の喫煙の危険性について理解することができる」などに設定。学習展開は①レッツクイズ②20歳の自分へメッセージ③ロールプレーイング―とした。

 ①ではたばこに関するクイズを出題。みんなで答えを考えながら、たばこの害について理解を深めた。②は、児童たちが喫煙について学んだことを基に20歳の自分へ「ニコチン依存があるからたばこは吸わないほうがいい」などのメッセージを書いた。③のロールプレーイングでは、「1本だけなら大丈夫だから平気平気。ストレス解消してスカッとしよう」といったたばこを勧める二つのセリフに対し、どう断るかを考え演技を行った。

 学習後、児童からは「たばこは体にとって悪い害があることを知った」「成長期なので受動喫煙に気を付けたい」などの感想があった。T・Tによる指導によって、豊富な資料から喫煙の害について幅広い学びを実践できたほか、学習した知識を児童たちが自分の言葉で伝える良い体験学習になったと感じている。

秋田県からのお知らせ:受動喫煙防止条例について(県健康福祉部健康づくり推進課)

子どもの施設、完全敷地内禁煙に

 「県受動喫煙防止条例」が来年4月に本格施行され、喫煙場所の規制がスタートする。

 幼稚園や学校、医療機関などは「第一種施設」となり、規制を厳しくしている。特に幼稚園や保育所、小中高校など子どもの施設は「完全敷地内禁煙」を義務化。例えば、保護者が子どもを車で学校に迎えに来た際、駐車場でたばこを吸うことはできなくなる。大学、医療機関、行政機関の庁舎などは「原則敷地内禁煙」となる。

 このほか、駅や空港、バスターミナルなどの公共交通施設は「完全屋内禁煙」となり、喫煙所を設置する場合は屋外となる。また、事業所やホテル、飲食店など複数の人が出入りする場所は「原則屋内禁煙」。ただし、一定の基準を満たした喫煙専用室を設置すれば、建物内での喫煙が可能だ。飲食店のうち、小規模店※の場合は屋内の一部または全部を、禁煙か喫煙可能かを選択できるが、従業員がいる場合には令和7年3月までの特例となる。

※資本金5千万円以下かつ客席面積100平方メートル以下