胃がんの早期発見のため、定期的に胃がん検診を受けましょう。 

(2020年1月25日 付)

ピロリ菌陽性者 塩分摂取に注意

秋田大学大学院医学系研究科
消化器内科学・神経内科学講座教授
飯島克則(いいじま・かつのり)氏

 塩分摂取量が多いほど胃がんになりやすいというデータがあります。ただし、これはピロリ菌が陽性の人に当てはまること。実は陰性だった人にはあまり関係がありません。

 そもそも胃がんは、ピロリ菌が陽性だった人が罹患(りかん)しやすいと言われています。ピロリ菌だけでも胃炎は起きるのですが、そこに塩分が増えると炎症が悪化することが動物実験で証明されています。どこの臓器にも言えることですが、炎症が続くとがんのリスクは確実に上がります。

 ピロリ菌の感染率については秋田が特別高いわけではなく、全国と同じくらいで、若い人にはほとんどおらず、高齢者が50%以上を占めます。ならば、なぜ秋田で胃がんが多いのかを考えると、塩分摂取量が全国的にみても上位に入る県だからという結論に至ります。ピロリ菌感染者というだけで最終的にがんになるのは実は数%と少なく、他の因子が入ってこないとがんにはなりません。塩分摂取や飲酒などが原因となって胃がんとなるのです。

 胃がんを防ぐために大事なのは、まずピロリ菌の検査を受けることです。20~30代の若いうちに検査するのがいいでしょう。近年では高校生のうちに検査を受ける人もいます。60代でも将来的な胃がん予防につながるので、ピロリ菌検査を受けてみることをお勧めします。ピロリ菌の検査は呼気でも調べることが可能です。

 検査でピロリ菌が陰性だった人は、胃がんになる可能性は低いといえます。一方、ピロリ菌が陽性だった場合は、薬を服用する「除菌治療」が行われますが、「除菌したら胃がんにはならない」と思うのは危険です。実は、胃がんに罹患する確率は3分の1程度減りますが、3分の2のリスクは残るので注意が必要です。ピロリ菌にはほとんどが子どものときに感染します。そこから大人になって何十年もの胃炎の蓄積があるため、完全に胃の炎症が治ることはありません。胃炎が進むとがんになる訳ですから、「除菌をしたから大丈夫」と過信せず、ピロリ菌が陽性だった人は、塩分を控えるとともに、毎年必ず胃がん検診を受けることが大事です。

胃がん検診への内視鏡検査導入

 胃がん検診は、厚生労働省の推奨もあって、全国的にバリウム検査から内視鏡検査を行う流れに変化しており、新年度から県内一部市町村で導入される予定です。検診として内視鏡検査を受けていた人などは、これからは助成対象となる場合があります。

 バリウム検査に比べ、内視鏡検査は早期がんが見つかりやすいほか、見落としが少ないのがメリットです。胃がんの恐ろしいところは初期にほとんど自覚症状がないことで、進行すると胃痛や胸焼けの症状があります。秋田の胃がん検診受診率は、残念なことに低いのが現状です。胃がん検診は、ほかの検診に比べると体への負担が大きいというネックもありますが、早期発見のためにも検診を受ける人が増えてほしいと思います。

 最後に、がんにならないためには、塩分を控えることはもちろん、お酒、たばこにも気を付けなければなりません。これら三つの要因が、がんになる確率を上げていることは、さまざまなデータで証明されています。健康的な生活と定期的ながん検診受診を心掛けましょう。