秋田県を取り巻くがんの現状と県のがん対策 

(2020年3月28日 付)

秋田県では、「がん予防」「がん医療の充実」「がんとの共生」の三つを柱に掲げ、がん対策を進めています。

「健康なメニュー」認証制度を実施へ

 厚生労働省が発表した「平成28年全国がん登録罹患(りかん)数・率報告」によると、人口10万人に対する本県の全部位の年齢調整罹患率は、全国で2番目の高さとなっています。がん罹患率が高い要因としては、生活習慣が挙げられますが、中でも喫煙は主な要因の一つ。「平成28年国民生活基礎調査」では、本県男性の喫煙率が33・9%(全国7位、全国平均31・1%)、女性は8・5%(同19位、同9・5%)と、特に男性が全国に比べ高くなっています。また、罹患率を部位別で見ると、本県は大腸と食道が全国ワースト、胃は2位と消化器系のがんが多いのが特徴で、これは塩分やアルコールの取り過ぎなどが関連していると言われています。

県健康福祉部
健康づくり推進課課長
石川修(いしかわ・おさむ)氏
潟上市出身。1989年4月県庁入り。県健康福祉部福祉政策課主幹、県健康福祉部課長待遇(秋田県厚生農業協同組合連合会派遣)などを経て、2019年4月から現職。

 県のがん対策推進計画では、「がん予防(一次・二次)」「がん医療の充実」「がんとの共生」の三つを大きな柱に掲げています。まず、がん一次予防では「健康寿命日本一」をスローガンに▼塩分マイナス2グラム・野菜プラス70グラム▼運動プラス2000歩▼受動喫煙ゼロ、そして禁煙―と具体的な行動を示し、県民に生活習慣の改善を呼び掛けています。県内の経済団体や市町村、企業などとタッグを組み「秋田県健康づくり県民運動推進協議会」を立ち上げて、各地域や職場での健康づくりに向けた自主的な取り組みも促進しています。二次予防となる「がん検診受診率の向上」においては、目標値である受診率50%達成に向け、検診の自己負担額に対する助成に加え、かかりつけ医から診療の場面での受診勧奨をお願いしています。

 そして来年度には、がん予防の新たな取り組みが始まります。目玉の一つが「健康な食事」メニュー認証制度。飲食店で提供される料理や配食弁当の中から、栄養に優れたものを「健康な食事」として県が認証し、家庭・地域だけでなく、外食や中食における望ましい食事スタイルの普及定着を目指します。喫煙関連では昨年7月、国の健康増進法を上回る受動喫煙防止対策を盛り込んだ県独自の条例を制定・施行しました。今年4月からは事業者や店舗における喫煙場所の規制が本格的に行われます。また、県は昨年9月、職場単位での健康づくりにつなげようと、経営者が先頭に立ち、率先して健康づくりに取り組む法人などを認定する「秋田県版健康経営優良法人認定制度」を創設しました。32の法人が、第1回目の認定を受けています。

妊よう性温存治療支援事業スタート

 柱の二つ目、「医療の充実」においても県ではさまざまな取り組みを行っています。本県は、県内12のがん診療連携拠点病院などを中心に、質の高いがん医療を提供していますが、県は、これらの病院に対し、医療従事者の研修や病院間の連携推進、相談体制の整備などの経費を助成することで、診療機能の充実・強化を図っています。また、近年は、がん患者の遺伝子を調べて最適な治療薬を処方する「がんゲノム医療」が注目されていますが、この遺伝子検査が昨年6月から保険適用となり、秋田大医学部付属病院でも、「がん遺伝子パネル検査」が行えるようになりました。

 最後に柱の三つ目「がんとの共生」への取り組みです。近年、がん患者は増加しているものの、生存率も高まり、病気を抱えながらも自分らしく生きる人が増えています。今、求められているのはがんの偏見をなくし、互いに支え合って共に暮らしていける社会を構築することです。そのため、県では各地域のがん相談支援センターの充実・強化や、がんサロンを運営する患者団体の活動支援、ウィッグや乳房補正具などの購入費用助成を行っています。加えて来年度は、新たに40歳以下のがん患者などを対象に、卵子や精子などを凍結保存し妊娠の可能性を残す「妊よう性温存治療」の支援事業がスタートします。この治療は高額で保険適用外となっていることから、経済的な理由で治療を諦めることがないよう、費用の一部を補助するものです。

 来年度は「第3期秋田県がん対策推進計画」(平成30年度~令和5年度)の3年目。計画の折り返し地点に当たることから、計画の中間評価と見直しを行い、必要に応じて施策や事業を見直すことにしています。がん医療を取り巻く環境は、刻々と変化しており、常に新たな対応が求められています。がん診療連携拠点病院などの協力を得ながら、今後も実効性のある計画を推進していきたいと思います。