がんのリスクに備える、最新がん保険のすすめ

(2022年9月24日 付)

「行動」「情報」「経済」─がんに備える三つの力 最新保険で手厚くサポート

生命保険協会秋田県協会(日本生命秋田支社支社長)髙橋 信之 会長

 がんは、国民の2人に1人がなる時代です(表1)。手術やその後の治療費、そして療養期間の収入減少など、お金の心配は尽きません。これらに備え、万が一の場合、悔いのない治療を選ぶという意味でも、医療保険に入っておくことは重要だと思います。

 がんに備えるための「三つの力」として、①行動力(早期発見のための定期的ながん検診など)②情報力(治療法を知る)③経済力(費用を気にせず治療するためのお金の準備)が挙げられます。これに伴い近年の医療保険は、検診の後押しや、がんに関するさまざまな情報提供、手厚い一時金など、昔に比べて大きく変わってきています。

 がん完治の平均的な目安は「治療後5年間再発しないこと※1」とされており、治療のためには5年間分の費用を備えておくと安心です。ステージⅠ、Ⅱの場合にかかる5年間の総額は、入院・手術・抗がん剤治療や差額ベッド代、食事、さらに治療以外などの費用を含め約352万円。ステージⅢ以上だと、約465万円かかるという試算があります。
※1 監修:(公財)日本生命済生会 日本生命病院

主流は「一時金タイプ」

 また、近年は入院日数にも変化があります。がんの部位によっては内視鏡を使った手術が増え、効果が期待できる薬も多く開発されていることなどから、入院日数がどんどん短期化しています。昔の保険のタイプは、入院日数かける日額でお金をもらえるものが普通でした。仮に日額1万円の場合、11日で11万円。5千円だとその半分です。入院日数が少なく、治療の選択肢が増えている今では、日額の保険だけで治療費を賄えなくなってきています。今は、上皮内がんも含め「がん」と診断されれば、数百万が支払われる「一時金タイプ」が主流です。

 このほか、最新の医療保険には先進医療の費用をカバーできるタイプはもちろん、セカンドオピニオンの提供、検診や再検査になった場合に一時金が出るようなタイプもあります。スポーツクラブなどで定期的に運動を行うと、翌年の保険料を割り引きする商品を出している保険会社もあります。

一度は保険の見直しを

 古いタイプの医療保険に入っていている人には、ぜひ見直しをお勧めします。チェックポイントは「一時金タイプ」になっているかどうか。もう一つは、「上皮内がん」でも一時金が支払われるか、です。以前の保険はステージ0に分類される「上皮内がん」が一時金の対象から外れている場合が多いので、自身の保険内容を改めて確認してください。繰り返しになりますが、自身ががんになったときに納得のいく治療が受けられて、きちんとした情報を提供してくれるサービスがあるのか、新しい保険と比較し今のままでいいのかをじっくり考えてほしいと思います。

 秋田は、がん死亡率で25年連続全国ワーストとなっています。高齢化、塩分摂取量の多さなどが要因と指摘されていますが、がんは遺伝子の損傷によって生じるので、誰もが罹患(りかん)する可能性があるものです。そしてがんは、中年以上になったらかかる病気と考えている人が少なくないと思いますが、若くてもがんになる人はいます。特に女性では20代~30代で子宮がんや乳がんといった女性特有のがんに罹患する人が増えています。万が一のときに困らないよう、「お金」「情報」の備えをぜひ、早めにしてほしいです。

 保険に入ることはもちろんですが、何よりも普段から検診を受け、早期発見・早期治療につなげることが大事です。コロナ禍となり、検診を受ける人が減ってがんを発見できない状況になっているのは問題です。私たち協会でも、県民の皆さんの検診率が上がるよう、さまざまな角度から活動を行っていきたいと思います。

 また、10月12日より秋田県主催の企業対抗型ウオーキングイベントが始まります。この機会にいつもより意識して歩くことも大切だと思います。