秋田県の「がん」による死亡率は17年連続で全国ワーストとなっています
なぜ、がんによる死亡率が高い状態が続いているのでしょうか。

がんは高齢になるほど発症率が高くなり、死亡率も上がります。つまり、高齢化の進んだ秋田県のがん発症率も死亡率も高いのはある意味、当然の流れなのです。特に死亡率が高いのが胃がん、大腸がん、食道がんなど消化器系のがんです。
75歳未満に年齢調整をかけた死亡率は2013年だと男性6位、女性3位と依然高い順位ではありますがワーストではなくなります。部位別でも、年齢調整すると大腸がんや食道がんの死亡率は2桁台の順位へと減少します。
ただし、年齢調整をかけても胃がんはやはりワーストなのです。実は、本県のみならず、青森や山形、新潟など日本海側の県で胃がんの発症が高くなっています。確たる医学的な根拠はないのですが、塩蔵物を食べるという日本海側共通の食習慣が関わっているのではないか―との説もあります。
死亡者数が多い胃がんの発症を抑えることが、本県のがん死亡率を下げる上で最も重要な要因であることは間違いありません。
本県で実施しているがん登録によると、現在最も発症の多いのは大腸がんで、年間の発症数は肺がんの2倍以上に上ります。ただし、消化器系のがんの死亡率は肺がんの死亡率よりはるかに低いのです。今後は肺がんの発症率が上がることが予想されているため、消化器系のがんの発症が多い本県のがん死亡率は相対的に下がることも考えられます。
医学の進歩に伴い、早期発見によってがんは完治できる病になっています。胃がんでは、がんが胃の中にとどまり、リンパ節や他の臓器に浸潤していない状態であれば生存率は96・7%。大腸がんや乳がんでも早期発見なら生存率は99%以上。子宮がんでも92・8%の生存率となっています。がんになっても早期であれば治癒できることがデータでも示されており、がん検診受診が何より大事なのです。

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