わが国の医療は世界トップレベル 「がん」も死に至る病ではなくなった
初期のがんであればほぼ完治できるといっても過言ではありません。

―わが国の医療は世界トップレベルにあり、がんも死に至る病ではなくなったと言われます。さまざまな数値に裏打ちされたお話だと思いますが、その理由をお聞かせください。
先日発表された2014年の人口動態調査で本県の人口10万人当たりのがん死亡率が407・3と全国で最も高くなり、これで18年連続で死亡率全国ワーストなってしまいました。ただし、前回もお話ししたようにがんは年齢が高くなるほど発症率が上がります。このため高齢化率の高い本県の発症率・死亡率が高くなることはある意味自然のことであり、75歳以上を除く年齢調整をかけた場合、ワーストではなくなります。ただし、死亡率が高いことに変わりはありません。
また、前回は転移などが見られない早期のがんであれば多くのがんが相当に高い確率で完治することもお話ししました。本県のがん登録は、各病院との連携がとれていて全国的に見ても進んでいますが、浸透に地域差があることも否めません。また、部位的に登録しづらいがんがあったり、患者が治療や居住地を県外に移して予後の把握が難しいケースもあり、完全に正確な数値とはいえないかもしれませんが、胃がんでも大腸がんでも、乳がんでも、子宮がんでも初期のがんであればほぼ完治できるといっても過言ではありません。
早期に治療するために欠かせないがんの早期発見のため、検診の受診が必要なのです。国や県はがん検診受診率50%という目標を掲げていますが、実際の県民の受診率は、10~20%台と目標よりはるかに低く推移しているのです。
県民の発症率が高い胃がんや大腸がん、乳がんなどはがん検診の対象となっています。胃がんや大腸がんは内視鏡の発達などにより発見、治療がしやすくなり、乳がんについてもマンモグラフィー検査により発見しやすくなりました。
早期のがんには症状がありません。だからこそ検診で発見するしかないことを肝に銘じ、定期的にがん検診を受診して自分の命と健康を守ってほしいのです。

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