県民のがん検診受診率10~20%台 国の目標に遠く及ばないのが現状です。

(2015年6月24日 付)

症状がないからこそがん検診を受診するという心構えが必要です。

秋田県総合保健事業団常務理事兼参与(医学博士)
戸堀 文雄さん vol.3

―がんが治る病気になった今、完治のための条件である早期発見、早期治療のため私たちは何をなすべきなのでしょうか。

 検診技術の向上と医療技術の進歩により、早期がんの発見、そして早期治療によって多くのがんは9割以上完治できるようになったと言っていいでしょう。

 ただ、早期発見の必須条件ともいえる県民のがん検診の受診率を見ますと10~20%台と、国の目標50%に遠く及ばないのが現状です。ともかく受診することが必要です。

 検診を受けない理由として県民の多くが語っているのが「必要になったら受診するので―」ということです。では、こうした人たちが考える「受診が必要になった時」とはいつでしょうか。症状が出たとき、痛みが出たときを指しているようです。しかし、症状や痛みが出るのはがんが進行した状態や末期がんの状態です。死亡リスクが高い状態になっているのです。

 症状がないからこそがん検診を受診するという心構えが必要です。定期的に検診や人間ドックを受けることが肝要です。そして、万が一症状や痛みが出たときは、即座に病院に行くことが必要です。

 一般的に40代頃からがん検診を受診すべきだと言われています。高齢になるに従って発症リスクが高くなる胃がんや大腸がんはそうした考えでよいでしょう。ただし、30代の発症率が高い子宮がんなら20歳頃から受診すべきだと考えます。また、40代後半の発症が目立つ乳がんについても30代半ばから受診したいものです。

 実は、胃がん発症との関連が指摘されているピロリ菌(ヘリコバクターピロリ)の感染率が低下しています。若い世代ほど顕著です。上水道の完備により井戸が役割を終えたことなど、幼少期の生活環境の変化が影響しているようです。こうした変化を考えれば、胃がんに関してはやはり高齢者ほど受診の必要性が高いのは確かです。