治せる病気になった今、検診でがんが見つかることは、大きなメリットなのです。
早期がんが見つかり、早期治療に向かえば医療費は当然、進行がんのそれより安く済みます。

―治る病気となったがんで死なないため県民にメッセージを。
県内でがん検診を受ける人は経年受診します。一方で、受けない人は頑として受けない。受診者の固定化を何とかしなければなりません。
受けない人をいかに、検診に向かわせるのか。本県では未受診者に保健師らが電話などで直接受診を働き掛ける「コール・リコール事業」を展開しています。この事業により、すべてのがんの受診率がある程度上がりましたが、やはり受けない人もいます。
そこで、行政などによる積極的な働き掛けに加え経済面でのアプローチも必要ではないかと考えています。検診により早期がんが見つかり、早期治療に向かえば医療費は当然、進行がんのそれよりはるかに安く済みます。そこに、例えば受診者の治療に伴う医療費負担を軽減したり、医療保険料を安くしたりといったことができないか―と思います。制度的に難しい事かもしれませんが、受診したことによる具体的なメリットが見えることで、受診に向けた機運は大きく高まることは確かです。
医療費の高いアメリカやヨーロッパでは子宮がん検診の受診率が8~9割にも上っています。検診でがんが見つかることは、受診者にとって心理的にはデメリットでも、がんが治せる病気になった今、本当は大きなメリットなのです。
本県では、中高生等を対象にがん教育を行っています。がん検診受診や生活習慣改善の重要性を若い世代に知ってもらうのが目的です。「三つ子の魂百まで」の言葉通り「がん検診は受診する」という刷り込みは将来、大きな効果となるはずです。また、教育を受けた子から親、祖父母への波及効果もあります。
また、がん検診で要精検になった人の精検受診率が低いことも問題になっています。要精検になったら必ず医療機関を受診しましょう。
繰り返しになりますが、がんは定期的な検診で早期に発見し、治療につなげれば9割が治ります。あなたと、あなたの大事な家族を守るため、がん検診を受けましょう。

- (1)秋田県の「がん」による死亡率は17年連続で全国ワーストとなっています2015年5月27日
- (2)わが国の医療は世界トップレベル 「がん」も死に至る病ではなくなった2015年6月10日
- (3)県民のがん検診受診率10~20%台 国の目標に遠く及ばないのが現状です。2015年6月24日
- (4)治せる病気になった今、検診でがんが見つかることは、大きなメリットなのです。2015年7月8日
- (5)胃がん発症の連鎖を断ち切るため、若い世代を対象に抗体検査に踏み切りました。2015年7月22日
- (6)若い世代のがん発生因子を除くと同時にがん検診受診を意識付けることが目的です。2015年8月12日
- (7)秋田県の胃がんによる死亡率が全国で最も高いことを考えれば、極めて有意義。2015年8月26日
- (8)行政が中心となり行うことで全中学校を網羅でき、画期的な事業だと評価できます。2015年9月9日
- (9)早期治療で治るにもかかわらず受診率が低い状態が続いているのは残念。2015年9月23日
- (10)定期的に受診することが早期発見、早期治療のためには不可欠なのです。2015年10月14日
- (11)検診を受診していない人に直接電話で受診を勧奨するコール・リコール事業2015年10月28日
- (12)若い世代の発症率が増加している子宮頸がん!!20歳になったら頸がん検診を受けましょう。2015年11月11日
- (13)秋田県は残念ながら1997年以来18年連続で全国ワーストとなっています。2015年11月25日
- (14)受診率を上げるために壁となるのが、60歳以上の受診率の低さです。2015年12月9日
- (15)がん予防を目的に実施しているのが、小中高生を対象としたがん教育です。2015年12月23日
- (16)それぞれの検査の特徴を理解して、がん検診コースを受診していただきたい2016年1月27日
- (17)「がん」の「早期発見」のために。1回の検査でほぼ全身をカバー。2016年2月10日
- (18)がん検診受診率を国、県の目標である50%に上げていくことが大きな課題です。2016年2月24日
- (19)生活習慣に起因するがんも多いので、予防には生活習慣の改善が不可欠です。2016年3月9日
- (20・完)あなたと、あなたの大切な人のために「がん検診」を受けましょう。2016年3月30日