秋田県は残念ながら1997年以来18年連続で全国ワーストとなっています。
塩分摂取量の多い食事や全国平均を上回る高い喫煙率など、生活習慣ががん発症に関与している可能性が高いと思われます。

―秋田県のがん死亡率やがんによる死亡者数の現状について、全国との比較や特徴的な傾向を含めて教えてください。
人口10万人当たりのがんによる死亡率について、秋田県は残念ながら1997年以来18年連続で全国ワーストとなっています。乳がん、子宮頸(けい)がんなど一部の部位を除き、がんは高齢になるほど罹患(りかん)率が高くなります。このため、全国で最も高齢化率が高い本県において罹患率や死亡率が高くなるのは、ある意味当然の成り行きといえます。
75歳以上の高齢者を除く年齢調整をかけたがん死亡率になると本県はワーストではなくなります。ただし、それでも全国平均より高く、ワースト10以内で推移していることは確かです。胃がんなどの消化器系のがん罹患者が多いことも合わせて考えると、塩分摂取量の多い食事や全国平均を上回る高い喫煙率など、生活習慣ががん発症に関与している可能性が高いと思われます。生活習慣は一朝一夕に変えられるものではなく、長期の改善なくして効果も得られません。若い頃からよい生活習慣を身に付けることが求められます。
がんの部位別の死亡者数では、長く胃がんが最も多かったのですが、12年と14年は肺がんが最も多くなりました。罹患者数では(1)大腸がん(2)胃がん(3)肺がんの順で多いのです。しかし、死亡者数となるとこの順番がひっくり返り肺がんが多くなっているのです。
肺がんは、他のがんに比べ早期がんであっても治療が難しいとされています。全国がんセンター協議会が今年7月に集計した部位別5年生存率によれば、早期のステージ1期の場合、胃がんは96・7%、大腸がんは99・2%となっているのに対し、肺がんは80・7%にとどまりステージ2期では42・5%、同3期では21・2%と極端に低くなるのです。
気になるのは本県の喫煙率の高さです。国民生活基礎調査によれば13年の県民の喫煙率は男性が38・2%で全国5位、女性は10・6%で全国14位です。全国的に禁煙が進む中で、本県では喫煙者がなかなか減りません。喫煙は肺がんのリスクを高めると指摘される中で、このまま推移すれば肺がんの死亡者がさらに増えることが懸念されます。

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