受診率を上げるために壁となるのが、60歳以上の受診率の低さです。
検診を受けない理由として特徴的なのが「医者にかかっているから安心」というものです。

―秋田県はがんによる死亡率が高い状態が続いていますが、がんの早期発見、早期治療に直結するがん検診の受診率はどのような現状なのでしょうか。
秋田県のがん検診受診率は全国平均より高いのですが、国や県が目標にしている50%には遠く及びません。部位別にみると胃がん検診の受診率は2013年度で14・1%と、他の部位の検診受診率が20%台で推移している中で際立って低くなっています。
胃がん検診を受診しない理由として「(検診で飲まされる造影剤)バリウムがいやだ」「内視鏡が苦痛だ」と、検査に伴う身体的な負担が大きいことを挙げる人が多いようです。胃がんは罹患(りかん)率が高いものの、早期に治療すれば治る確率が高いことを説明しながら受診を呼び掛けていきたいと思います。
がん検診は市町村が主体となって実施しています。全県的に、町村部の受診率は高く市部のそれは低い傾向にあります。横手市のように合併前の旧8市町村単位で受診を働き掛け受診率が高い市もありますが、行政の範囲が小さいほど受診が浸透しやすいようです。
受診率を上げる上で大きな壁となっているのが、60歳以上の受診率の低さです。がんは、子宮頸(けい)がんなど一部を除き、年齢が上がるほど罹患率が高くなります。しかし、がん検診受診率は年齢とともに低くなるという逆の傾向にあります。例えば、13年度の胃がんの罹患率(人口10万人当たり)は50~54歳で53・1なのに対し60~64歳は192・8、70~74歳398・6と上がっています。一方、受診率は50~54歳の31・4%に対し、60~64歳18・3%、70~74歳は15・3%と下がっています。
検診を受けない理由として特徴的なのが「医者にかかっているから安心」というものです。しかし、心臓など循環器系の不調で通院治療を受けていても、胃や大腸など消化器系の検査をしているとは限りません。自分が受診した疾患以外についてはがん検診を受けない限り、リスクが現存していることを知ってもらいたいと思います。また、「不調になったら医者に行く」という理由もありましたが、がんは症状が出たら進行している可能性が高く、検診は「何でもない時」に受診することが重要なのです。

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