がん予防を目的に実施しているのが、小中高生を対象としたがん教育です。

(2015年12月23日 付)

若い世代にがんについての正しい知識と、好ましい生活習慣を身に付けてもらうのが狙いです。

秋田県健康推進課がん対策室長
柳田 高人(やなぎた・こうど)さん vol.3

―がん予防や、がん検診の受診率向上、がん医療の充実のため県が行っている施策について説明してください。

 がん予防を目的に実施しているのが、小中高生を対象としたがん教育です。2012年度に試験的に実施し、翌13年度から本格的に行っています。医師会や秋田大の医師と、がん経験者を学校に派遣し、おおむね2時限実施します。1時限目は講義、2時限目はグループワークを行います。

 若い世代にがんについての正しい知識と、好ましい生活習慣を身に付けてもらうのが狙いです。さらに、家庭でがんについて話し合ってもらうことで、親の検診受診を促進する効果も期待しています。今年の11月までに60校で実施し、約6600人が受講しています。

 がん検診の受診促進を目的として実施しているのは、40歳と50歳の全県民を対象とした胃がん検診受診の無料クーポン配布や、働く方々の受診機会を増やすため休日に集団検診を実施する団体への助成です。さらに、女性のがん検診について医療機関での受診を希望する声が多いことから、市町村や医療機関などと連携し、お住まいの市町村以外の医療機関でも検診を受診できる事業を実施しています。これらにより、受診者が増えるという実効を挙げています。

 がん医療充実のため、10カ所の拠点病院等への放射線治療装置の配置補助、秋田県のがん診療連携の中核である秋田大学部附属病院への内視鏡手術支援ロボット「ダヴィンチ」の導入などを行っています。ソフト面では、がん専門看護師等の医療従事者育成支援、患者や家族への相談支援体制の整備、緩和ケア研修会の実施などを行っています。

―がん検診受診促進に向けたメッセージや今後の目標を。

 がんの多くは、早期に発見できると完治が期待できます。そして、早期がんが発見される割合は、症状が出てから医療機関を受診するよりも「検診・健診・人間ドック」が高いのです。早期がんの多くは自覚症状がありません。ですから、自覚症状がなくても定期的に検診を受診することが大事です。

 今度県は、がん罹患率が高い年齢層に的を絞った対策を推進します。さらに、検診により「要精密検査」の結果を受けたにもかかわらず精検を受診する割合が全国平均を下回っている現状を踏まえ、精検受診率90%に向けた取り組みを展開します。