「がん」の「早期発見」のために。1回の検査でほぼ全身をカバー。

(2016年2月10日 付)

健康を愛する家族のために。「PET-CT検査」

孝仁病院PET 画像診断センター長
村田 雄二さん

―早期発見こそが、がん治療と根治のカギ。「PET-CT」という最先端の画像診断装置による検査が注目されています。自身の健康を再確認する意味でも「PETがん検診」への理解を深めましょう。

―PET-CT検査とは

 PET検診はブドウ糖に似た物質を注射し、その物質の分布を画像にします。がんは多くのブドウ糖を取り込むことから、ブドウ糖が体の中のどの臓器に多く取り込まれているかを見ることで、がんの発見が可能となります。10ミリ前後の小さながんを見つけることができるため、早期発見、転移・再発の診断、良性・悪性の判定などに効果を挙げています。

―部位別の検査が必要ですか

 1回で全身の検査が可能です。肺がん、胃がん、乳がん、大腸がんなど、一般的な検診では、部位別の検査が必要ですが、PETでは基本的にほぼ全身をカバーできるというメリットがあります。また、PETとCTの両方で撮影した画像は、腫瘍の位置や大きさなどが詳しくわかり、がんの位置を立体的に捉えることができるため、正確な位置の検出と早期発見を可能にします。切開せずにがんの良性・悪性の識別ができ、検査時間も短くて済むことから従来の検診よりも気軽に受診できるようになりました。秋田県では県総合保健センターで人間ドック「がん検診コース」の一環として、誰でも受診できます。

―具体的な検査方法や、メリットは

 注射をするだけですし、撮影は20分程度なので、受診者の身体的な負担も軽いのです。悪性リンパ腫など、がん検診では見つけにくいものを発見できるのも、PETの強みです。磁気共鳴画像装置(MRI)など、他の検査法と組み合わせることで、より精度の高い診断もできます。早期発見によって、治療がスムーズになり、治癒率も高まります。治る段階で見つけることが、とても大切なのです。

 また、PETは「がんを発見する」だけでなく「異常がない」ことを確認し、自身や家族の安心が得られる検査でもあるのです。安心感をもっていただくために受診してほしいのです。検診はもちろん自分のためですが、ご家族やご自身が支え、支えられている大切な方々のためでもあります。「健康第一」。かけがえのない健康ーそんな思いも実践しなければ意味がありません。自分は健康だと思っている人でも、年1回くらいの受診がお勧めです。PET検診でがんが見つかっても、早期治療・早期完治で結果的にPET検診を受けてよかった、と思ってもらえると思っています。

 健康とは自分だけのものではありません。愛する家族の「安心」でもあります。自身の健康の再確認と家族の安心のため、もっと気軽にがん検診を受診していただきたいのです。