遠い風近い風[小嵐九八郎]学生と一緒に

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 私大の芸術学部でアルバイトを始め、この4月で満12年となった。俺自身が芸術って本当にあるのか、美(び)って何なのかと悩んでいるのに教壇に立つのは羞恥の極みなのだが、若い人達の感性や考えを知らないと当方の小説はもっと売れなくなるので超安の月給を我慢しつつ、一緒に遊ぶの心でやっている。

 2コマを受け持っていて、その一つは講座のテーマだけは立派な「創作論」だけど、実際は俺好みの恋愛小説が主で、しかも、性にやや傾きが強い、瀬戸内寂聴氏が晴美時代の『花芯』、大江健三郎氏の『性的人間』、現芥川賞選考委員の村上龍氏の『トパーズ』などをテキストに使っている。75人ぐらいが受講していて、文芸学科の学生の他に映画学科や写真学科などからも集まってきていて、これらのテキストにはなぜか美術学科の学生の反応が敏感である。

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