社説:リニア談合事件 入札の実態解明を急げ

お気に入りに登録

 JR東海のリニア中央新幹線の工事を巡り、大林組、鹿島、清水建設、大成建設の大手ゼネコン4社が受注調整をしていた疑いが強まっている。東京地検特捜部が強制捜査に乗り出し、4社幹部らの聴取を行っている。総工費約9兆円に上る大事業の入札実態について解明を急いでほしい。

 大林組は「名城非常口」(名古屋市)新設工事の入札で不正があったとして今月8、9日に特捜部の家宅捜索を受けた。その後、課徴金減免制度に基づき、公正取引委員会に「大手4社はリニア関連工事で事前に受注調整していた」と自主申告し、4社による談合を認めた。

 JR東海は2015年以降、トンネルや駅、非常口の新設といった計22件のリニア関連工事の契約を締結。うち15件を、大手4社が代表の共同企業体(JV)が3、4件ずつ受注。4社は受注予定企業をまとめた一覧表を作成していた。特捜部は、受注会社が決まっていない5件についても事前協議をしていた可能性があるとみている。一方で、大林組を除く3社は談合の事実を認めていない。

 リニア計画は旧国鉄時代からの国家的なプロジェクト。国も融資しており、公共性は極めて高い。常態的に不正を繰り返してきたとすれば極めて悪質である。談合により落札額がつり上げられた可能性もあるといい、到底許されるものではない。

 大手4社は、特捜部や公取委から独占禁止法違反などでたびたび摘発されてきた。談合事件に対する社会の批判を受け、4社は05年に「談合決別宣言」をした。しかし、その後も旧防衛施設庁の発注工事、名古屋市発注の地下鉄工事、東日本大震災で被災した高速道路の復旧工事など、本社やそのグループ会社が関与した談合事件が次々に発覚している。今回の談合事件が事実なら「談合決別宣言」は外向けのポーズで、国民をあざむいてきたことになる。

 なぜこれほどまでにゼネコンの不正が続くのか。不正が発覚しても他業種に比べて大きなダメージを受けないことが理由の一つに挙げられる。三菱自動車が燃費不正の発覚後、会社存続の危機に瀕するほどのダメージを負ったのとは対照的だ。現在の入札制度では、本社が指名停止処分となっても、そのグループ会社は影響を受けず、逆にグループ会社が指名停止となっても本社は公共事業の入札に参加できる仕組みだ。不正をさせないためには、こうした仕組み自体を見直すことも必要になるのではないか。

 JR東海は27年に品川―名古屋間の先行開業を目指している。同社幹部は今回の事件による工期への影響はないとしているが、事業を適正に行うことが工期以上に重要なはずだ。談合が疑われる入札はいったん白紙にすべきではないか。そうしなければ不正を容認することになり、国民の理解は得られない。

秋田の最新ニュース