ふるさと小紀行[大館市・十二所かまくらやき]真澄記した光景復活

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昨年2月に行われた十二所かまくらやき

 落ち葉を詰めた炭俵に火を付けて振り回す大館市十二所の小正月行事「十二所かまくらやき」。長く途絶えていたが、地元有志が2011年に復活させ、今では冬の風物詩として定着している。今年は今月14日に十二所公民館の駐車場で開催。同公民館の畠山定久館長(68)は「行事を話題にする住民が増え関心の高さを感じる。美しい光景を見ようと、幅広い世代の住民が毎年心待ちにしている」と話す。

 かつての名称は「かまくらやくの祝い」。十二所地区を訪れた江戸後期の紀行家・菅江真澄(1754~1829年)が、1803年1月14日の日記に記している。「秋の落ち葉をたくさんかき集めて俵に詰め、これを火にかけて盛んに振り回すと、火花を春風に散らす様子が、またとない光景で風情があった」とあり、十二所でも火振りかまくらが行われていたことがうかがえる。

 復活に向けて動いたのは、十二所で造園業を営む殿村研一さん(65)。10年ほど前、新聞記事で真澄が「かまくらやくの祝い」について記述していることを知った。「地域がにぎわったら面白いだろうという遊び心だった」と振り返る。

 しかし、由来や作法を知る人は地域にいない。84年前に発行された郷土史の暦にも記載がないことから、その頃には既に途絶えていたとの見方もある。

 殿村さんがまず取り組んだのは炭俵作り。参考にしようと、仙北市角館町の火振りかまくらを見学した。運営スタッフに事情を伝えると、炭俵を一つ快く譲ってくれたという。

 それを見本にしながら、ススキを材料に製作。編み目の広さや中に入れる落ち葉の量を変えるなど試行錯誤し、空気が入りやすく長い時間燃える炭俵を完成させた。口の部分から火の粉や落ち葉が舞い落ち、幻想的な風景を生み出すように工夫もしている。

 行事が定着し、大人だけでなく小、中学生も会場に訪れるようになり、親子で体験する姿も見られるようになった。真澄の日記にある「夕方から大勢の人が群をつくり、見物に出掛けていった」の情景が重なる。

 殿村さんは「子どもたちが大人になって地域を離れても、光景を思い出して古里に思いを寄せてほしい」と語った。

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