社説:米軍機タンク投棄 相次ぐ事故に不安募る

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 米軍三沢基地(青森県)所属のF16戦闘機が20日、エンジン火災を起こし、基地の近くにある小川原湖(同県東北町)に燃料タンク2個を投棄する事故があった。F16は基地に引き返し、着陸した。けが人はなかったが、湖ではシジミ漁が盛んに行われていた。操業中の船を直撃していたら、大惨事になっていた。極めて危険な行為であり、許されるものではない。

 F16が燃料タンクを投棄したのは三沢基地を離陸した直後。火災に伴いすぐに基地に引き返そうと機体を軽くするなどの理由から投棄したとみられる。米空軍は「人けのないことを確認して投下した」と説明しているが、果たして上空から湖面の安全性を確認できたのだろうか。

 小川原湖漁業協同組合によると、当時は落下場所から約200~600メートルの距離にシジミ漁の船が10隻ほどあり、湖全体では約100隻が操業中だったという。

 タンクは機体に外付けしており、一般的なものは全長約4・5メートル、直径約1メートルで、重さは燃料が入っていない状態で200キロ以上。それが湖に突然落下し、ごう音とともに高さ15メートルほどの水しぶきが上がった。これでは怖くて漁などできない。

 政府は安全管理の徹底と原因究明、再発防止策を講じるよう米側に申し入れた。だが沖縄県で米軍ヘリの事故などが起きるたびに同様の申し入れが行われるものの、事故は繰り返されている。住民の安全が確保されるよう、政府は米側に強い態度で臨む必要がある。

 事故後、小川原湖の湖面には油や部品のような物が浮いているのが見つかり、同漁協は油が回収されるまで湖での漁を全面的に見合わせることを決めた。農林水産省の統計(2016年)で、青森県のシジミ漁獲量は約3100トンで全国で2番目に多く、同漁協は約1100トンとその主力となっている。漁のできない日が続けば大打撃だ。

 このため三村申吾青森県知事は、政府と米側に原因究明を急ぐとともに漁業者への補償に万全を期すよう求めた。政府は地元の声に応え、迅速に対応してもらいたい。

 それにしても米軍機によるトラブルが多過ぎないか。沖縄県では昨年12月に米軍ヘリコプターの窓が小学校の運動場に落下する事故があったほか、今年1月にはヘリの不時着が3件相次いだ。今月も伊計島(同県うるま市)の海岸に輸送機オスプレイの部品が流れ着いているのが見つかり、米軍は飛行中のオスプレイが海上に落下させたと認めた。

 北朝鮮情勢を背景に米軍は活動を活発化させているとされるが、事故が起きるたびに国民の米軍への不信感は高まる。今回の事故に限らず、米軍は原因調査を急ぎ、結果を明らかにする必要がある。誠実な対応と情報公開なくして住民の不安を払拭(ふっしょく)することはできない。