北斗星(3月3日付)

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 1978年、薬師丸ひろ子のデビューは事件だった―。秋田市大町2丁目で「乃帆(のほ)書房」を営む大友俊さん(53)は、続「次の本へ」(苦楽堂)に寄せた一文をこう書き始めた。彼女が出演する映画を追って原作の文庫本を次々手に取ったという

▼同書は、次の1冊へと読書をどう広げていくか、多くの分野の人が体験を記した本のガイドブック。同じ著者の本を読む、同じテーマで横に広げるといった正攻法から、1枚の絵がきっかけだったり、漫画で見た詩が気になったりと選び方はさまざまだ

▼乃帆書房は、システム開発会社に勤めていた大友さんが脱サラして昨年12月に開店した。個性的な本選びでほかにはない書店を目指す。店内には「何を読んだらいいのか分からない」といった人向けの読書ガイドのコーナーもある

▼先日の小紙に、全国の大学生を対象にした調査で、1日の読書時間を「ゼロ」と答えた人が初めて半数を超えたという記事が載った。若者の本離れは深刻だ。本年度の県民意識調査では、1日30分以上読書している人が40%となり昨年度より8ポイント近く低下した。ここでも特に20代の落ち込みが大きい

▼乃帆書房は月替わりの特設コーナーも設けており、今月は「震災」がテーマだ。ルポ、小説、漫画などがジャンルを超えて1カ所にまとまると、へぇーと新たな発見がある

▼こうした出合いの面白さを若者たちにどう伝えられるか。大友さんは「『次の本へ』のような店になりたい」と話した。